2025年10月23日、WSET Diplomaの最初の大きな関門であったWSET Diploma D3(Wines of the World)のテイスティング試験を受けて、合格してきました!
WSET Diplomaの全ユニットの中で50%という圧倒的な配点ウェイトを占める最難関「D3」ですが、セオリー試験の難易度は推して知るべしなところ、このテイスティング試験はどうしても一発でパスしておきたい勝負でした。 落ちた場合に再受験した場合、8万円弱と非常に高い・・・。
本記事では、試験当日、合格者がどんなことを考えて12杯のグラスに向き合っていたのか、どういった思考回路で評価を書こうとしていたのかについて、レポとしてまとめるものです。ぜひ、これからWSETやワインの試験を受けようとする方の参考となれば幸いです!
ちなみに費用感については、こちらの記事にまとめています。

試験当日のタイムラインと現場のリアル
ここでは、当日のスケジュールとその前後でどういったことを準備していたかまとめます。
当日のスケジュールとメンタルコントロール
試験当日のスケジュールは以下のとおりです。私は、8時前くらいから、SATの用語(特に酸やタンニンのレベル分け)や、品質評価(Quality Assessment)の定型文の再確認など、簡単なチェックを全体通してやるくらいで抑えました。
ちなみにテイスティング試験になるので、カフェでコーヒーや紅茶などの刺激物は飲まないように、当日は、家から会場に直接行くことにしています。
10:30-10:50 入室/準備
10:50-11:00 試験前準備
11:00-12:30 Paper 1 試験(ワイン6種)
12:30-13:30 お昼休憩
13:30-15:00 Paper 2 試験(ワイン6種)
席の場所ですが、私は早めにワインを注いで、外観などを遠目に見ておきたかったので、なるべく前の席に座るようにしていました。
また、グラスを選ぶときも、なるべく空の状態で香りを嗅ぐようにしていました。私の印象だと、いくつかは、洗剤が残っているような香りがあるグラスがあり、テイスティングのときに香りが取れなくなる原因となります。WSET レベル2やレベル3の授業を受けていたときも、いくつかそういったグラスにあたってしまうことがトラウマとなっていたからです。
しかし、今回のグラスはほとんど洗いたての匂いなどが充満していたので、比較的匂いがきつくないグラスを選びましたが神経質な方は、自分のグラスを持ち込んだほうが良い結果が出ると思います。もし私ももう一度やるのであれば、自分のテイスティンググラスを持ち込もうと思います・・・。
3時間を戦い抜く時間配分
D3 Tastingも、Theory同様に時間との戦いです。各Paperは90分で6種のワインをテイスティングするため、時間配分は極めてシンプルです。 90分 ÷ 6本 = 1本あたり15分 この15分をさらに細分化し、私は以下のように決めていました。
- 外観・香り・味わいのSATチェック:7〜8分
- 結論(品質評価と理由、熟成可能性):5〜6分
- 見直し・品種産地の最終決定:1〜2分 迷っているとあっという間に時間が過ぎるので、特定の香りの表現や銘柄当てで立ち止まりそうになったら、さっさと次の項目の「酸」や「アルコール」の判定に移ることが必要です。
一番は結論などをしっかり点数分要素に落とし込んで記載していくことです。詳細は以下の記事のとおりです。

Paper 1(午前中の問題)での思考回路とアプローチ
実際の試験ではブラインドですが、後日発表されたワインリストを記載します。フライト1が白ワイン3つ、フライト2が白ワイン2つと赤ワイン1つという構成でした。
Question (Paper 1)
Wine 1
Country: France
Region: Loire Valley
Wine: Domaine Chatelain Pouilly Fumé Les Chailloux Silex 2023 (12.5%)
Wine 2
Country: United States of America
Region: Napa Valley
Wine: Groth Sauvignon Blanc 2023 (14.0%)
Wine 3
Country: New Zealand
Region: Marlborough
Wine: Esk Valley Estate Sauvignon Blanc 2024 (12.5%)
Wine 4
Country: Australia
Region: South Australia (Clare Valley)
Wine: Grosset Polish Hills Riesling 2024 (12.1%)
Wine 5
Country: Australia
Region: South Australia (Coonawarra)
Wine: Petaluma White Label Cabernet Sauvignon 2019 (14.0%)
Wine 6
Country: Australia
Region: New South Wales (Hunter Valley)
Wine: Tyrrell’s Vat 1 Semillon 2018 (11.9%)
ちなみに日本語にすると以下のとおりです。
第1フライト(同一品種の比較)
ワイン1:フランス / ロワール / プイイ・フュメ 2023(12.5%)
ワイン2:アメリカ / ナパ・ヴァレー / ソーヴィニヨン・ブラン 2023(14.0%)
ワイン3:ニュージーランド / マールボロ / ソーヴィニヨン・ブラン 2024(12.5%)
第2フライト(同一国の比較)
ワイン4:オーストラリア / クレア・ヴァレー / リースリング 2024(12.1%)
ワイン5:オーストラリア / クナワラ / カベルネ・ソーヴィニヨン 2019(14.0%)
ワイン6:オーストラリア / ハンター・ヴァレー / セミヨン 2018(11.9%)
見た瞬間に、ロゼワインや甘口ワインが無さそうだというところで、少しホッとしました。WSETレベル3までは、こうしたワインのテイスティングコメントを書く練習をしていなかったので、自分の中の軸がなく、不安があったのですが、白と赤だけに集中できそうな事がわかったからです。
第1フライト:ソーヴィニヨン・ブランの3産地比較
これは、ロワール(プイイ・フュメ)、ナパ、そしてマールボロという世界的なソーヴィニョン・ブランのスタイルの違いを問うフライトでした。
とりあえず気持ちをまっさらにして、香りを取ってみると、ワイン3のニュージーランドのソーヴィニョン・ブラン特有のパッションフルーツやハーブ系の香りがビンビンと感じられたので、このワインがいわゆるバンカーワインだなとすぐ分かりました。ソーヴィニョン・ブランはテイスティングコメントがかなり典型的なので、このあたりはコメントを一気に下記進めることができました。
その後、ワイン1は、酸が高く、シレックス由来のスモーキーさや火打石(flint)のミネラル感が明確だったので、ロワールのソーヴィニョン・ブランであると分析できました。ロワールは、高緯度ですが、そこまでハーブ系の香りが立たないという印象だったのと、ソーヴィニョン・ブランの比較であれば、間違いなくロワールは出てくるだろうという推測が立ちました。ただ、同じソーヴィニョン・ブランでボルドーなどの場合も想定されるなということだったので、多少の保険も含めてフランスと書けたことは良かったと思います。
最後のワイン2は完全に当てずっぽうでした。少なくともアルコールの度数が高めでボリューミーなワインだったので、オーストラリア、チリ、アメリカあたりの新世界のソーヴィニョン・ブランかな?と推察して、樽のニュアンスもあるので、とりあえず、間違ってもいいから「アメリカ」と記載しました。これは結果として正解だったのでホッとしています。
いずれにしても、半分くらいの点数は、ちゃんとグラスに向き合って、SATの要素をしっかり記述に落とし込んでいき、部分点を確実に稼ぐ意識で書いていれば点数が来ると思ったので、最後の国を外すくらいは、構わないというスタンスで行きました。
第2フライト:オーストラリアの多様性
後半はオーストラリア括りでした。結論をいうとオーストラリアは導けましたが、品種を惜しいところで外しています。結果は、Passでした。
まず、赤ワインであるワイン5が特徴的だったので、これがバンカーと思われます。ユーカリ/ミントの香りが明確だったので、クナワラのカベルネ・ソーヴィニョンだろうというのが王道の記述ですが、実は私はオーストラリアのシラーズだと思ってコメントを書いてしまいました・・・。結果、SATのコメントとしてはほとんど変わりはないので、点数が稼げたことが良かったと思います。
なんとなく、ここまでシラーズが特徴的でバンカーならば、オーストラリアかなとぼんやり思いながら、ワイン4とワイン6に向き合いましたが、結論、リースリングとセミヨンの品種を逆に書いてしまっています苦笑。
WSETはリースリングやセミヨンが好きだと思っていたので、これらは出るだろうなとの気持ちがありましたし、香りを嗅いでみるとそれぞれの特徴が出ていた気がします。結果、酸の高さなどのコメントがそこまで変わらなかったので、点数を稼ぐことができたので、合格できたのだと思います。
Paper 2(午後の問題)での思考回路とアプローチ
午前中が終わったわけですが、SATの記述欄はしっかり埋め切れた自信がありました。午後は、どんな奇抜なフライトが来ても、基礎的なSAT評価で部分点を稼いで絶対合格を掴み取ろうという心持ちでした。
ちなみに、お昼ご飯の香りが会場の邪魔をしてしまわないように、別会場でお昼ご飯を食べるように指示を促されました。
ということで、ここから午後の問題です。
Question (Paper 2)
Wine 7
Country: France
Region: Beaujolais
Wine: Georges Dubœuf Beaujolais Villages Domaine Des Trois Vallons 2022 (14.0%)
Wine 8
Country: France
Region: Beaujolais
Wine: Maison Jean Loron Domaine de Cornillac Beaujolais 2023 (12.5%)
Wine 9
Country: France
Region: Beaujolais
Wine: Domaine de Colette Moulin-á-Vent ‘Le Mont’ 2024 (13.0%)
Wine 10
Country: Portugal
Region: Vinho Verde DOC
Wine: Quintas do Homem Branco Vinho Verde 2024 (11.0%)
Wine 11
Country: Spain
Region: Rioja
Wine: Campo Viejo Reserva 2018 (13.5%)
Wine 12
Country: Italy
Region: Veneto
Wine: Monte del Frà Valpolicella Ripasso Classico 2021 (14.0%)
日本語にすると以下のとおりです。
第3フライト(同一地域の比較)
ワイン7:フランス / ボジョレー・ヴィラージュ 2022(14.0%)
ワイン8:フランス / ボジョレー(広域) 2023(12.5%)
ワイン9:フランス / クリュ・ボジョレー(ムーラン・ナ・ヴァン) 2024(13.0%)
第4フライト(テーマなし・ミックス)
ワイン10:ポルトガル / ヴィーニョ・ヴェルデ 2024(11.0%)
ワイン11:スペイン / リオハ・レセルバ 2018(13.5%)
ワイン12:イタリア / ヴァルポリチェッラ・リパッソ 2021(14.0%)
正直、午後の問題はあまりに正答率が悪かったので、これは反省すべきところが多かったです・・・。
第3フライト:ボジョレー(ガメイ)の階級比較
ワイン7〜9は、同じガメイ種でありながら、広域(AC)、ヴィラージュ、クリュ(ムーラン・ナ・ヴァン)の階級ごとの「凝縮度(Intensity)」「タンニン」「余韻(Length)」の違いを評価させる設問でした。
解答欄の中に、「各付けのレベル」を書かせる設問が用意されていたので、旧世界などの赤ワインが有名な産地だから、南仏のどこかかなという推測は立てられていました。
しかし、ローヌで、広域名、村名、特定のAOCということが頭の中で先行しすぎたのと、クリュレベルなどの濃いガメイを飲み慣れていなかったので、完全のボジョレーという選択肢が自分の中でありませんでした・・・。
最低限コメントも大丈夫だろうと思ってSATを書いていきましたが、結果はFailとなってしまいました。これは完全に理解できていなかったので、仕方がない話だと思います。
第4フライト:世界の個性派&伝統スタイル
ワイン10〜12は多種多様でした。ワイン10は低アルコール(11.0%)で微炭酸(Spritz)を感じる爽やかな白。これはヴィーニョ・ヴェルデの典型です。 完全にこの一つでPassしたような試験でした笑。これだけはテイスティングコメントも完璧であったと思います。
残り、WSETが好きなリオハやヴァルポリチェッラであったにも関わらず、当てられませんでした。サンジョベーゼやメルローなどの濃いヨーロッパの産地かなと思い、ざっくりコメントを書いてしまいましたが、半分くらいは基本的な外観、香り、味わいが当たっていたので、無事Passできたのだと思います。正直自信がなさすぎて、どの国や産地を書いたか記憶がないレベルでした。
今思うと、アマローネなどのグリセリンのボディの強さは頻出なのに頭が回らなかったことは残念でしたが、Passとなったことは喜ばしかったです。
試験を終えて
終わった時点で時間はいっぱいいっぱいでしたが、12本全てのSATグリッドと結論を書き切ることができました。 銘柄を一部間違えたかもしれないという不安はありましたが、「アルコール度数」「酸味」「タンニン」の強弱のスケールは大きく外していないだろうとは思っていました。
フライト1のソーヴィニョン・ブランやフライト2のオーストラリアであることは特定できていましたし、フライト4のヴィーニョ・ヴェルデも特定できていたのでと自分で自分を励ましていました笑
手応えというには微妙で、正直なんとかPassだけはしていてほしいと思っていましたが、結果はPassが翌年もらえたので、とても安心して、残りのTheory頑張ろうと思えたことが良かったです。
まとめ
今回、2025年10月の実際のテイスティング試験の時に何を考えながらグラスと向き合っていたのかをトレースして再現してみました。 これからDiploma D3を受験する皆さまにとって、このリアルなレポが一助となれば嬉しいです!
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