WSET Diplomaは英語力は必要?公式が求めるレベルを解説

Diploma試験の風景
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はじめに:日本人が直面する最大の壁は「英語」

ワインの国際資格として最高峰に位置するWSET Diploma。Level 3までを優秀な成績で突破した方であっても、Diplomaへの挑戦を前にして足踏みしてしまう最大の理由は「英語」ではないでしょうか。

事実、私もレベル3までは日本語で受けてしまっていたので、実際に英語での受験を考えるときは、結構悩んでしまいました。(これは、英語でのレベル3の講義が土日にやっていなかったからなのですが・・・。)

日本の受験者にとって、膨大な英語のテキストを読み込み、さらに英語で論述試験に挑むことは、ワインの専門知識を身につけることと同等か、それ以上に高いハードルに感じられるかもしれません。

本記事では、WSET Diplomaの合格に向けて実際にどの程度の英語力が必要なのか、そして語学の壁をどう乗り越えれば良いのかを、試験のリアルな実態と採点官の視点を交えながら解説します。

WSET Diploma合格に求められる英語力の目安

WSET Diplomaの試験は、日本の受験者であっても英語で受験することが基本となります。では、具体的にどの程度の英語力が求められるのでしょうか。

公式推奨は「IELTS 6.5以上」

WSETの公式仕様書(Specification)では、英語が第一言語ではない受験者に対して「IELTS 6.5以上」の英語力、またはそれと同等の能力を持つことが強く推奨されています。

IELTS 6.5というスコアは、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)において「B2(中上級)」に該当します。日本で馴染みのある試験に換算すると、おおよそTOEIC 750〜820点前後英検準1級〜1級レベルと言われています。日常的な会話だけでなく、ある程度の専門的な話題についても自分の意見を論理的に説明できる力が求められるレベルです。

実際の試験において、知識を十分に伝えるだけの語学力がないために不合格となってしまう受験者が毎回の試験サイクルで一定数存在することが、採点官のレポートでも報告されています。

私は、たまたまでしたが、英国大学院に留学するために、IELTSを勉強していてIELTS6.5まで勉強していたので、難易度については、理解していましたが、通常勉強しようとするとなかなか高いレベルを求められています。

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IELTSまでを受験する必要はないですが、IELTSのライティングの試験だけは勉強しておくことを強くおすすめします。アカデミックライティングの技術や求められる接続詞の情報などを理解することは論述の際に、非常に役に立ちます。

ワイン専門用語という特殊な語彙力

ただし、一般的なTOEICの点数が高ければ安心かというと、そうではありません。WSETの試験では、ブドウ栽培、醸造、熟成、そしてワインビジネスに関わる高度な専門用語が飛び交います。例えば、Bentonite、Gelatine、Polyvinylpolypyrrolidoneといった専門用語も覚える必要があります。

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こうした専門用語を英語理解すると、海外のワイナリーなどを訪れた際に、会話がスムーズになりました。Bariqqueやconcrete eggなど実際に語彙力があるので、生産者の方々も気兼ねなく質問に答えてくれるようになります。

「読解」よりも「論述」が問われる試験のリアル

WSET Diplomaの英語で最も苦労するのは、「読むこと(インプット)」ではなく「書くこと(アウトプット)」です。

圧倒的なアウトプット量が求められる

Diplomaの試験(D1からD5)は、選択式の問題ではなく、すべて英語での記述式(オープンレスポンス)と、英語でのテイスティングノート作成で構成されています。

試験時間は厳格に決められており、例えば、D2(ワインビジネス)の試験は60分間で回答しますが 、合格レベルに達するには通常3〜4ページ分、多い人では5ページ分もの英語を書き続ける必要があります。これは、公式に採点者のレポートで述べられています。

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実際のA4のペーパーは、だいたい38-40行くらいだったと記憶しています。それぞれ一行空けながら書いて、一行辺り10語とすると、①枚書くのに300-400字くらいを書くことになります。流石にこの量を書こうとすると手が痛くなります苦笑

D6は英語で3,000語の本格的なリサーチ課題

さらに、D6(Independent Research Assignment)では、特定のテーマについて独自にリサーチを行い、3,000語の英語の課題論文を提出することが求められます 。

ここでは単に事実を羅列するだけでなく、関連する資料を評価し、独自の考察を交えながら、論理的で一貫性のある文章を構築する力が問われます。適切な引用や参考文献リストの作成など、英語でのアカデミック・ライティングのルールに従う必要もあります。

ネイティブ並みの英語力は不要?採点官のリアルな視点

ここまで読むと「ネイティブのような美しい英語を書かなければならないのか」と不安になるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

多少の文法・スペルミスは許容される

採点官は、試験がプレッシャーのかかる環境で行われることや、多くの受験者にとって英語が第二言語であることを十分に理解しています。

そのため、言わんとしている意味が明確に伝わる限り、多少の文法ミスやつづりの間違いが減点の対象になることはないと言われています。

重要なのは「美しい英語を書くこと」ではなく「問われている内容に対して、事実に基づいた論理的な回答をすること」です。

専門用語のスペルミスは厳しく見られる

一方で、例外的に厳しく見られるのが「ワイン専門用語のスペルミス」です。ブドウ品種名や産地名、土壌、醸造技術などに関わる専門用語については、正確なスペルで書くことが求められます。

採点官のレポートでは、専門用語のスペルミスが多発する答案は「学習不足」というネガティブな印象を与え、採点に悪影響を及ぼす(または採点官の信頼を損なう)可能性があると警告されています。

私は、フランス語などのアクサンテギュなどをちゃんと理解してかけるようにして、採点者にアピールすることは、特に注意して勉強しました。

語学の壁を越える!WSET Diploma向けの英語勉強法

英語を母国語としない私たちが、この難関を突破するための具体的な学習のコツをいくつか紹介します。

1. Command Verb(指示動詞)の意図を正確に捉える

Diplomaの試験で最も多い失敗の一つが「問われていることに答えていない」というものです 。英語の設問文に含まれる「Command Verb(指示動詞)」の意味を正確に理解し、求められているフォーマットで回答することが不可欠です。

Describe(記述する): 対象の特徴や事実を詳細に述べること。
Explain(説明する): 事実を述べるだけでなく「なぜ(Why)」や「どのように(How)」という因果関係を明確にすること。
Evaluate(評価する)/ Assess(評価する): 対象の長所と短所、強みと弱みなどを多角的に検討し、それに基づいた最終的な判断や結論を下すこと。

例えば「Evaluate」を求められている設問で、単なる事実の「Describe」に終始してしまった場合、どれだけ正しい英語で書かれていても不合格となります。

2. 手書きの英語に慣れ、独自の回答テンプレートを作る

WSET Diplomaの試験(D1〜D5)は、デジタルではなく手書き(紙とペン)で行われます。どれほど素晴らしい知識を持っていても、採点官が解読できないような乱筆であれば点数は失われてしまいます。

また、時間内に効率よく回答を構成するためには、自分なりの「英語の回答構造」を用意しておくことが有効です。例えば比較問題であれば、まず事実を述べ、次に相違点を挙げ、最後に理由を論じるといった構造を事前に英語で整理しておくことで、本番での時間を有効に使えます。

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私は、シャープペンシルと消しゴムを持参して試験に挑みましたが、人によってはボールペンで書いている猛者もいました。間違ったときには、横線で消すだけでも良いようです。

3. テイスティング用語(SAT)を完璧に暗記する

D3、D4、D5にはテイスティング試験がありますが、ここではWSET独自の「Systematic Approach to Tasting (SAT)」の用語を正確に使うことが絶対条件です。

  • 構造的要素(酸、タンニン、アルコールなど): SATで指定されたスケール(例:low, medium(-), medium, medium(+), highなど)から1つだけを選んで記述する必要があります 。例えば「medium(-) to medium」のように幅を持たせたり 、SAT以外の独自の形容詞を使ったりした場合は、得点になりません。
  • アロマと風味: 単に「ストーンフルーツ(Stone fruit)」といった大分類(クラスター名)を書くだけでは得点にならず 、「ピーチ(peach)」「アプリコット(apricot)」などの具体的なフルーツ名(ディスクリプター)を英語で正確に記述する必要があります。

これらも英語ですべて書く必要がありますので、綴りなど迷わないように書く必要があります。

まとめ:英語力は「ワインを語る武器」になる

WSET Diplomaに挑戦するにあたり、英語力は確かに大きな壁となります。しかし、公式の電子テキスト(eBook)に書かれている内容を正確に理解し、それを自分の言葉で整理する訓練を積めば、決して乗り越えられない壁ではありません。

Diplomaを通じて身につけた「英語でワインを論理的に語る力」は、世界中の生産者やワイン専門家と対等に渡り合うための最強の武器になります。ぜひ、恐れずに挑戦の第一歩を踏み出してみてください。

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中であり、最終試験の結果待ちまで来ている。
フランス留学経験もあり、10か国100か所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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