WSET Diploma│非ワイン業界で仕事しながら独学・合格体験記

WSET講座の風景
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はじめに

この度、2026年7月31日をもって、WSET Diploma D3のTheory試験に合格し、晴れて、WSET Diplomaの資格を取得することができました。

思えば、2020年ごろにワインを好きになって、「一つの趣味として、突き詰めてみたい!!」と思ってから、5年ほどが経ってしまいましたが、一つの節目を迎えることができ、とてもホッとしています。

皆さま、ご存知のとおり、WSET Diplomaは日本で受けられるワインの試験としては、最難関試験の一つであり、WSETが提供するグローバルな資格として、その難易度は非常に高いと言われています。

当然、ワイン業界の方々が受けてもなかなか合格しないくらい難しいと聞いていますが、加えて、英語の壁やテイスティングでの費用など非常に多くの時間や労力などがかかることで有名です。

日本でもまだ200名前後しか合格者がいない試験であると聞いており、各種ブログ記事を見てもストレートで合格した人の体験談や英語の記事しかなく、なかなか不合格を複数回受けて合格している人は非常に少ないのではないかと思います。

今回は、私がこれまで勉強したきっかけや合格までのタイムライン、勉強方法や、それぞれの試験の不合格の失敗談を含めて、ここに体験記として記すこととしたいと思います。これが、将来受験しようと考えている人や今受験しているWSET Diploma Candidate(候補生)の皆さまの一助となれば、望外の慶びです。

なぜWSET Diplomaを目指したのか

趣味として極めることの楽しさ

これは、一重に趣味として「ワイン」を極めてみたい!ということに尽きると思います。

これまでは、読書や旅行など一定趣味的なものはありましたが、自分のアイデンティティを説明できるほどの趣味というものはありませんでした。

ところが、2020年頃にたまたま無料で「神の雫」の3巻分が無料公開されているのを何気なく読んだときに、「本当にこんな味わい違うの?」と不思議に思ったことがきっかけでした。

その後、新宿のそこそこちゃんとしたワインバーに行ってみて、注文してみて飲んだところ、「あ、本当にチョコレートの香りみたいな味わいや、居酒屋の名も無きワインで感じたような薄さじゃなくて濃いんだ!」と感じたときに、ワインって面白いかもしれないと思って、しっかり勉強してみたい!と思ったのがきっかけでした。

そこそこものを覚えたり勉強するのは好きな方だったので、立て続けに日本ソムリエ協会のワインエキスパートと、WSET レベル3を合格して、この調子なら、一番難しいと言われるWSET Diplomaまでしっかり取りきって、人に胸を張ってワインが好きだと言えるようになりたいと思い、受験することに決めました。

留学を経て体験したWSETという資格の共通認識

後ほどのタイムラインでも少し書きますが、WSET Diplomaの申し込みをしてから、1年間イギリスに留学していたため、実はWSET Diplomaの受験を中断していた時期があります。

その際に、海外の飲食系の仕事をしていた何人かの同級生が、やはりWSETの存在を知っており、「WSET Level3まで持っているんだ!すごいじゃないか!ワイン業界の人なの?」というくらい共通言語として認識されており、その凄さを証明するための一つの手段として良いものだということを感じました。

また、いくつかの旅行先でもWSET レベル3を持っていると言うと、説明を遠慮なくしてくれるようになったり、共通言語が理解できる人なのだという認定を受けるので、テイスティングツアーやワインショップに行くのが非常に楽しかった記憶があります。

ある意味、周りの人から認められる資格を持てるようになるということが、後々のモチベーションにつながっているのだと思います。

タイムライン(複数回の不合格、何度もの挑戦)

こちらでは、実際の合格までのタイムラインについて、メールの履歴を基に再現してみようと思います。正直、各種ブログで合格を書かれている皆さまに比べたら、何度も不合格を受けておりますし、時間がかかってしまった方ではありますが、恥を忍んで記載してみようと思います。

ぜひ何回か不合格でうまく行っていない人は、こんな人でも合格しているのだとモチベーションにつなげていただければ幸いです笑

合格までの泥沼クロニクル(年表)

申込みから合格まで、時系列化してみました。こうしてみると実質的に最初の試験に受かってからは、2年くらいなのですが、試験慣れしていなかったり、勉強の仕方が分かるまで時間がかかってしまっていることが分かりますね・・・涙

  • 2021年11月10日:WSET Diploma コース受講申込
  • 2022年3月26日:D1試験、27日までチュートリアル
  • 2022年6月7日:D2試験
  • 2022年7月頃:D1試験不合格(当時は封筒での通知だったため、正確な日付不明)
  • 2022年8月17日:D2不合格通知
    (※2022年7月〜2023年8月までイギリス留学中のため動きなし)
  • 2024年1月24日:D2試験(再)
  • 2024年3月6日:D1試験(再)
  • 2024年5月16日D1合格通知(Pass)!!
  • 2024年6月上旬頃:D2試験不合格(再)
  • 2024年6月12日:D4試験
  • 2024年8月19日:D4試験不合格
  • 2024年10月22日:D2試験(再々)
  • 2025年1月8日D2合格通知(Pass)!!
  • 2025年1月22日:D4試験(再)/ D5試験 / D6提出(※締切は1月31日)
  • 2025年4月3日: D4 不合格通知 / D5 合格通知(Pass)!!
  • 2025年4月25日D6 合格通知(Pass)!!
  • 2025年6月11日:D4試験(再々)
  • 2025年8月21日:D4不合格通知
  • 2025年10月22〜23日:D3試験
  • 2026年1月21日:D4試験(再再々)
  • 2026年2月9日:D3不合格通知(Tasting: Pass / Theory: Fail)
  • 2026年4月1日D4合格通知(Pass with Merit)!!
  • 2026年5月12日:D3Theory試験(再)
  • 2026年8月5日D3合格通知(Theory:Pass)WSET Diploma合格!!
  • 2026年8月25日:卒業式案内受領(開催日程:2027年4月29日)

勉強のしかた

ここでは、私が最終合格までに用いていた勉強方法のいくつかを書き記したいと思います。

この数年で生成AIの進歩が目覚ましく、最後、D3の試験を受験するときまでには、生成AIで問題・解説を作って自分で分析したりと、実践的な回答案の作成や疑問を解消するために使いました。色々と技術が進歩しているので、ぜひ色々と参考にしつつ、新しい技術を学んでみてください。

iPadを駆使した勉強

WSET DIplomaのテキストは、毎年度(8月頃)、PDFでダウンロードする形式です。しかし、D1が200ページ前後、D2、D4及びD5がそれぞれ100ページ前後、そして、D3が600ページ前後であることを踏まえるとこれを印刷して、ソムリエ教本のように持ち運んで勉強することは現実的ではありません・・・。

そのため、iPadなどのタブレットに入れ込んで、都度参照しながら勉強するということが中心になるかと思います。これは別の合格者の方も紹介していますが、私のオススメはGoodnotesというアプリで、PDFを読み込ませて、マーカーや発音、ポイントなどを書き込んで理解していくことがオススメです。

検索が使えるようになっていることもですが、SpecificationやExaminer’s Reportなども一緒にダウンロードして降りて、参照できるようにしておくと便利です!

筆者のiPadでの勉強風景
筆者のiPadでの勉強風景

外国語の勉強

これは、チーズプロフェッショナル試験でも同様のことを書いていますが、やはり、英語以外で、少なくともフランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語に関しては、初めて見る固有名詞であってもなんとなく発音できるくらいには発音のルールを学んでおくべきであると思います。

WSET Diplomaの試験は、すべて筆記やエッセイで構成されるので、その原語やアクセント記号を間違いなく書けるかどうかが、理解度を示すために非常に重要となってきます。

加えて、単純に筆記で間違えないために呪文のように書いて覚えるのではなく、発音から遡って綴りを確認できるようにすると当日自身を持って、品種名や生産者の具体例を書くことにつながるかと思います。

例えばですが、南フランスなどで有名な品種として「ムールヴェードル」がありますが、これは、フランス語の「Mourvèdre」の「è」の上にある左下がりの記号は、アクサン・グラーヴ( ` )と呼ばれる発音指示の記号が含まれます。

この記号がついた「è」は、口を横に大きく開いて発音する母音 [ɛ] となり、日本語の「開いた『エ』」の音を表します。もし記号がない単なる「e」であれば、口を半開きにした曖昧な「ウ」に近い音(シュワ音)になり、日本語では「ムールヴドゥル」のような響きになってしまいます。

つまり、この記号は「曖昧にごまかさず、しっかり『エ』と音を立てる」という指示標識です。そのため日本語表記では、その音を際立たせるために「ムールヴェドル」ではなく「ムールヴェードル」と伸ばして表記されます。

こうしたルールを知っているだけでも、綴りを忘れそうになった場合に、発音から間違いなく書けるようになるかと思います。

KSK

あとは、当然のことながら、WSET Diplomaであるのに、初見のエチケット(ラベル)を読めないということがないように、最低限の原語の発音は知っている方が良いかと思います!

ひたすら筆記

あとは、試験中は、ひたすら鉛筆・シャーペンで書き殴る形式の試験となりますので、とにかく手に覚え込ませたり、英語の文章を書けるようにしておくことが必要です。

私の場合、iPadは理解用ということで、ノートをきれいに付けると言うより、アウトプットの練習用にひたすらノートを使い潰すという使い方をしていました。

筆者が使い潰したノートたち
筆者が使い潰したノートたち

理解のために、いわゆるマインドマップみたいなこともしてみましたが、これはとにかく自分に合う勉強方法を探すということが一番であると思います。

筆者のブレインマップのイメージ
筆者のブレインマップのイメージ

生成AIの駆使

これは、時代のツールが追いついてきた感じがありますが、私は最終盤、生成AIで壁打ちをしながら理解度を他kまえていきました。

私が利用していたのは、GeminiNotebookLMを利用していました。NotobookLMにPDFを読み込ませた上で、specificationなどのルールをプロンプトとして入れ込み、試験問題例を自分で作ったうえで、回答案を作りながら頭の整理をしていきました。

例えば、D3であれば、

・ピノ・ノワールの産地として、バーデンとセントラル・オタゴの同じところと違うところ
・アルバリーニョについて、ポルトガルとスペインの産地の違い
・リオハ(ドイツ、バローロなども同様)の最近の法改正の意義
・〇〇国のビジネス上の強みと弱み

といった複数の産地やブドウ品種、総合的な観点から理解度を問う問題がよく出ていることは、過去の問題例を見ると分かるかと思います。

これらのワードを入れ替えた上で、同じような問題を作りながら、回答案を作成したり、自分が回答できるかしっかり内容を詰めていくということが生成AIによって格段にできるようになりましたので、ぜひとも利用して、自分の理解度を高めるために使ってほしいと思います。

私は、これで、石灰質土壌が新世界で重要である点や、テロワール重視となるワイン法の改正の流れがわかったりと新たな視点が分かったことが非常に参考になりました。

私の失敗体験談

私は、あまり勉強仲間でDiplomaの勉強をするということがほとんどなかったので、最初の頃は問題形式や書き方がなっておらず、結構な回数不可(Fail)を受けてしまいました。

そこから恥を忍んでではありますが、以下の失敗事例も紹介したいと思います。みなさんはこうした事が起きないようぜひ参考にしてみてください。

Specificationの読み込み不足

WSET Diplomaの学習において、最大かつ致命的な失敗は「公式テキストを読み込むだけで満足し、Specificationを軽視していたこと」です。

特に、コマンド動詞などで顕著ではありますが、アカデミックライティングにおいて、どういう聞かれ方をしたらどういう解答をしなければいけないのかという理解が不足すると、いくら文字を増やしたところで、合格にはたどり着けませんでした。

事実はこう→だからこういう影響がある→なのでワインのスタイルはこうなる、といったロジックがかけるようにならなければExplainの解答とはならないため、どういった記載が求められるかなど含めて、しっかりSpecificationを抑えておく必要があります。

我流のテイスティングコメント

テイスティングコメントは、ほとんどWSET レベル3と同じですが、それでも書くべきコメントが増えていることが非常に重要となります。

例えば、「非常に良い(outstanding)」といった評価に加えて、BLIC(Balance, Length, Intensity and Complexity)などのコメントをそれぞれ書いていくことになるかと思いますが、これらを、ただ「バランスが良い」とだけ書くと点数はもらえません。

〇〇と△△がバランスが良いというようにしっかり書かないと点数にならない事に気づかず、過去にWSET レベル3でdistinctionもらえたから、なんとかなるだろうと思ってしまい、あまり対策しなかったことが裏目に出て、D4を複数回受験する羽目になったことは苦い思い出です・・・。

Specificationを参考としつつ、どんなコメントを書けば点数がもらえるのか、Tasting guideも参照しながらしっかり練習をすることをオススメいたします。

固有名詞ばかり覚える

これは、ソムリエ試験やワインエキスパート試験の流れから、固有名詞を覚えて書けば点数になると勘違いしてしまうということがあると思います。

私もその感覚を捨てきれず、D1の仕立て方D3のsignificant producerの名前を覚えることに躍起になってしまいましたが、今思うとほとんど意味のない行為でした。

事例として説明を補強するためには意味がある行為だと思いますが、最初から固有名詞を覚え込むだけの勉強の仕方はする必要がないと思います。事実と理由・因果関係を説明できれば最低限点数はもらえるのではないかと思います。

勉強時間の確保はどうべきか

私も非ワイン業界でフルタイムで働いていましたので、当然日中勉強する時間は確保できません。

なので、始業までの時間、定時後の時間、そして土日の使い方でどれだけ勉強時間を確保できるかが鍵となります。最近の勉強環境を踏まえると、スマホや誘惑が多いため、まとまって時間を取ることは難しいのですが、ある程度勉強の仕方が分かってきたら、勉強時間をちゃんとアプリで数えて、少なくとも量を確保することも大事だと思います。

例えばですが、D3の勉強は、最後の2ヶ月で200時間は積み重ねて勉強しました。「質より量」が大事なことは分かりますが、「量」もないのに、「質」を追い求めるような勉強の仕方をしてしまって反省することが多かったと思います。

終わりに

Diplomaを取得して得られた最大の資産は、単なる肩書きではなく、世界中のワインや複雑な市場構造を論理的に紐解くことができる普遍的な思考フレームワークです。

今、不合格の知らせに打ちひしがれている方も、失敗の原因を1つずつ潰し、WSETが求める論理的な思考へと勉強法をアップデートしていけば、道は必ず拓けます。私の泥臭い遠回りの記録が、あなたの合格への確かな一歩となれば幸いです!!

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、2026年WSET Diploma(WSET ディプロマ)を取得しました。
フランス留学経験もあり、10か国100か所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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