1. 概要
テロルデゴはイタリア北部トレンティーノ=アルト・アディジェ州を中心に栽培される黒ブドウ品種で、主に赤ワインの生産に用いられています。鮮やかな色合いとしっかりとしたタンニン、フルーティーでスパイシーな味わいが特徴で、地元では高品質な赤ワインとして評価されています。
近年はイタリア国内だけでなく、海外でも注目が高まりつつあり、エレガントながらも個性的な味わいから愛好家に支持されています。
2. 名前の由来
「Teroldego(テロルデゴ)」という名前の由来には諸説ありますが、主に以下の説が有力です。
- 「tirelle(細い枝)」から派生
ぶどうの木の細く伸びる枝を意味する言葉が変化した説。 - 歴史的な伝説
古くは「Tiroledo」や「Teroldego Rotaliano」とも呼ばれ、トレンティーノ地方のロタリア盆地に由来すると言われています。
現在の名称は19世紀以降に定着し、イタリア語圏のワイン業界で広く知られるようになりました。
3. 栽培
テロルデゴは冷涼な山岳地帯でよく育ち、特にトレンティーノ地方の肥沃な火山性土壌と昼夜の寒暖差がブドウの品質向上に寄与しています。適度な樹勢と中程度の収量を持ち、湿気の多い気候にはやや敏感ですが、全体的に丈夫な品種です。
栽培特性
特性 | 内容 |
---|---|
萌芽(budding) | 中程度 |
成熟(ripening) | 中程度 |
樹勢(vigour) | 中程度 |
収量(yield) | 中程度 |
耐病性 | うどんこ病やべと病にやや弱い |
その他の特徴 | 火山性土壌で特に良質な果実が得られる |
収穫は秋の中旬頃で、適期に収穫することで酸味と糖度のバランスが良いブドウが得られます。テロルデゴのワインは果実味と酸味が調和し、長期熟成にも耐えるポテンシャルがあります。
4. 味わい
テロルデゴから造られるワインは、深いルビー色を持ち、ベリーやプラムの果実味に加え、スパイスやハーブのニュアンスが感じられます。タンニンはしっかりしているものの柔らかく、酸味が豊かでバランスの良い味わいです。
典型的な味わいの特徴
- 色調:深いルビー色から紫色
- 香り:ブラックベリー、プラム、スパイス、黒胡椒、時に杉や土のニュアンス
- 味わい:中からフルボディ、しっかりしたタンニン、良好な酸味
- 余韻:長くエレガントで心地よい
若いうちはフルーティーでフレッシュな印象がありますが、熟成を重ねると複雑でスモーキーな風味も現れます。地元トレンティーノでは食事に合わせやすい赤ワインとして親しまれています。
5. 主な生産地
イタリア(Italy)
- トレンティーノ=アルト・アディジェ州(Trentino-Alto Adige)
テロルデゴの原産地で、特にロタリア盆地(Rotaliano)周辺で栽培が盛んです。テロルデゴ・ロタリアーノというDOP(保護指定原産地呼称)も存在し、地域の代表的な赤ワインとなっています。 - ヴェネト州(Veneto)
一部で栽培され、ブドウの個性を活かしたワインが造られています。
その他の地域
近年はオーストラリアやアメリカなど、世界各地で少量ながら栽培されており、個性的なワイン造りが試みられています。
6. 代表的なシノニム
テロルデゴは比較的特定地域での栽培が中心のため、シノニムは少なめですが、以下の名前で知られています。
シノニム名 | 名称の由来・背景 | 主な生産地 |
---|---|---|
Teroldego | 現在の正式名称 | イタリア・トレンティーノ |
Teroldego Rotaliano | ロタリア盆地に由来する名称 | イタリア・トレンティーノ |
Tiroldego | 歴史的に使われた変形名称 | イタリア・トレンティーノ |
おわりに
テロルデゴはイタリア北部トレンティーノ地方を代表する赤ブドウ品種で、深みのある色合いとバランスの取れた味わいが魅力です。フルーティーでありながらしっかりとしたタンニンと酸味を持ち、食事との相性も良いワインが多く造られています。
イタリアワインの多様性を知る上でも、テロルデゴはぜひ一度試していただきたい品種です。地元の特色ある土壌が育んだ個性的なワインを味わうことで、新たなワイン体験が広がることでしょう。
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