1. 概要
サンジョヴェーゼ（Sangiovese）は、イタリアを代表する赤ワイン用ブドウ品種で、イタリア国内の栽培面積では最大を誇ります。トスカーナ州を中心に栽培されており、キアンティ（Chianti）やブルネッロ・ディ・モンタルチーノ（Brunello di Montalcino）など、著名なワインの主要品種として知られています。
華やかなチェリーやベリー系の果実味に加え、しっかりとした酸味とタンニンがあり、料理との相性も非常に良い品種です。幅広いスタイルのワインが造られ、イタリアワインの象徴とも言えます。
2. 名前の由来
「サンジョヴェーゼ」の名前はラテン語の「Sanguis Jovis（サングイス・ヨウィス）」に由来し、「ジュピター（ローマ神話の最高神）の血」を意味します。これは、このブドウの深い赤い色合いや力強さを象徴する名前とされています。
イタリア語での正式な発音は「サンジョヴェーゼ」で、地域や方言によって若干の違いがありますが、イタリア全土で親しまれている名称です。
3. 栽培
サンジョヴェーゼは多様な気候や土壌に適応できる品種ですが、以下のような特徴があります。
- 萌芽（budding）：中期に芽吹きます。
- 成熟（ripening）：晩熟で、10月頃の収穫が一般的です。
- 樹勢（vigour）：強めでしっかりした樹勢があります。
- 収量（yield）：高収量になりやすいため、品質向上のために収量制限が重要です。
- 耐病性：うどんこ病やべと病にやや弱く、防除が必要です。
- 適した土壌・気候：石灰質土壌や砂質土壌を好み、温暖な地中海性気候でよく育ちます。
4. 味わい
サンジョヴェーゼ由来のワインは以下の特徴を持ちます。
- 外観：明るいルビーレッドから深いガーネット色。
- 香り：チェリー、赤スグリ、プラムなどの赤系果実に加え、トマトやスパイス、ハーブのニュアンスも感じられます。
- 味わい：中程度から高い酸味としっかりしたタンニンを持ち、バランスの良い骨格が特徴です。熟成により複雑な風味が増します。
- スタイル：フレッシュな若飲みタイプから、長期熟成可能なフルボディタイプまで幅広く造られています。
5. 主な生産地
サンジョヴェーゼはイタリア全土で広く栽培されていますが、特に以下の地域が有名です。
- トスカーナ州（Toscana／トスカーナ）
キアンティ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノなど、多数の著名ワインの主要品種です。 - エミリア＝ロマーニャ州（Emilia-Romagna／エミリア＝ロマーニャ）
ボローニャ周辺でワイン生産に用いられています。 - ウンブリア州（Umbria／ウンブリア）
シンプルな赤ワインやロゼワインに使われています。
また、アメリカやオーストラリアなど海外でも少量ながら栽培されており、イタリア系移民によって世界中に広まりました。
6. 代表的なシノニム
サンジョヴェーゼには地域や言語によって多様な呼び名があります。
| シノニム名 | 名称の由来・背景 | 主な生産地 |
|---|---|---|
| Sangiovese（サンジョヴェーゼ） | イタリア語の正式名称 | イタリア全土 |
| Brunello（ブルネッロ） | モンタルチーノのサンジョヴェーゼ単一品種ワイン名として使われることもある。 | トスカーナ（モンタルチーノ） |
| Morellino（モレッリーノ） | トスカーナ州マレンマ地方の呼称 | トスカーナ（マレンマ） |
| Nielluccio（ニエルッチョ） | フランス・コルシカ島で栽培されるサンジョヴェーゼのクローン。 | フランス（コルシカ島） |
| Prugnolo Gentile（プルニョーロ・ジェンティーレ） | トスカーナ州の一部で使われる名称 | トスカーナ |
おわりに
サンジョヴェーゼはイタリアワインの心臓部ともいえる重要な品種で、幅広いスタイルのワインに対応できる柔軟性と個性を持っています。豊かな果実味としっかりとした酸味、タンニンのバランスが絶妙で、多くの料理に合わせやすいのも魅力です。
イタリアワインの代表格であるサンジョヴェーゼを味わうことで、イタリアの風土や歴史を感じることができるでしょう。初めての方もぜひ挑戦してみてください。
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