1. 導入
プリオラート(Priorat)は、12の村からなる小さな地域で、面積は約1,900ヘクタールです。
その歴史は12世紀にさかのぼり、修道士たちがワイン造りを始めたことに由来します。
20世紀後半には衰退の危機に直面しましたが、1980年代に若手醸造家たちが品質向上に取り組み、再び世界的な注目を集めるようになりました。
2. 気候
プリオラートは地中海性気候で、夏は暑く乾燥し、冬は穏やかです。
年間平均気温は15℃、降水量は400〜600mm程度です。
日照時間は年間約4,300時間と非常に長く、ブドウの成熟に最適な条件が揃っています。また、昼夜の寒暖差が大きいため、ブドウに酸味と香りがしっかりと残ります。
3. 主なブドウ品種
プリオラートで栽培される主なブドウ品種は以下の通りです。
- ガルナッチャ(Garnacha):果実味豊かでアルコール度数が高く、柔らかなタンニンが特徴です。
- カリニェナ(Cariñena):酸味とタンニンが強く、長期熟成に適しています。
その他、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、メルローなどの国際品種も使用されています。
白ワイン用には、ガルナッチャ・ブランカ、マカベオ、ペドロ・ヒメネスなどが栽培されています。
4. 醸造
プリオラートのワイン造りは、伝統と革新が融合しています。
多くのワイナリーでは、手摘みで収穫されたブドウを選別し、ステンレスタンクやフレンチオーク樽で発酵・熟成させます。
一部の生産者は、足踏みでの破砕や自然酵母による発酵など、伝統的な手法を取り入れています。
また、低収量で高品質なブドウを得るため、古木の栽培や有機農法を採用するワイナリーも増えています。
5. PDOなどの規制
プリオラートは、スペインで最も厳格な原産地呼称制度であるDOCaに認定されています。この制度では、以下のような規制が設けられています。(Hudson Valley Wine Goddess)
- 最大収量:赤ワイン用は3,000kg/ha、白ワイン用は4,000kg/ha
- 使用可能品種:ガルナッチャ、カリニェナ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、メルローなど
- 熟成期間:クリアンサは最低12ヶ月の樽熟成、レゼルバは最低24ヶ月の熟成が必要
また、2017年からは、単一畑や村ごとの特徴を反映した新たな分類制度が導入され、テロワールの表現が重視されています。(prioratwines.nl)
6. 主な生産者
以下は、プリオラートを代表する生産者の一部です。
生産者名(読み方) | 概要 | 公式HP | |
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Clos Mogador(クロス・モガドール) | アルバロ・パラシオスが設立したワイナリーで、プリオラート復興の立役者。 | 公式HP | |
Clos Erasmus(クロス・エラスムス) | ダフネ・グリュネフェルトが手がけるワイナリーで、エレガントなワインが特徴。 | 公式HP | |
Clos Figueras(クロス・フィゲラス) | 英国人クリストファー・カニングが設立したワイナリーで、観光施設も充実。 | 公式HP | |
Vall Llach(バイ・リャック) | スペインの歌手リョレンス・リャックが設立したワイナリーで、力強いワインが魅力。 | 公式HP | |
Álvaro Palacios(アルバロ・パラシオス) | リオハ出身の醸造家で、プリオラートの品質向上に貢献。 | 公式HP |
プリオラートは、厳しい自然環境と情熱的な生産者たちの努力によって、世界的に評価されるワイン産地となりました。その力強く複雑なワインは、多くのワイン愛好家を魅了し続けています。ぜひ一度、プリオラートのワインを味わってみてください。
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