ノートン(Norton)│アメリカを代表する伝統的赤ブドウ品種

ノートン(Norton)とは?アメリカを代表する伝統的赤ブドウ品種
目次

1. 概要

ノートンはアメリカ合衆国を代表する赤ワイン用ブドウ品種で、特にミズーリ州やバージニア州、そして近年ではカリフォルニア州などで栽培されています。19世紀初頭に発見されたとされ、アメリカで最も古くから栽培されている赤ブドウ品種の一つです。

この品種は、米国固有の品種としての地位を確立しており、強い酸味と濃厚なタンニン、豊かな果実味を持ちます。ノートンから造られるワインは深い色合いと複雑な味わいが特徴で、特に赤い果実やスパイスのニュアンスが楽しめます。

2. 名前の由来

ノートンの名前は、19世紀初頭にミズーリ州でこの品種を発見・普及させたジェームズ・ノートン博士に由来します。彼は元々イギリス人の医師であり、ミズーリ州で新しいブドウ品種の育成と普及に尽力しました。

元々は「ノートン・グロウラー(Norton Grower)」や「ノートン・クレーム(Norton Crème)」と呼ばれていましたが、現在は単に「ノートン」として知られています。

3. 栽培

ノートンはアメリカの多様な気候条件に対応できる非常に耐病性の高い品種です。特に寒冷地にも強く、アメリカ中西部や東部の冷涼な気候に適しています。

栽培特性

特性内容
萌芽(budding)中程度
成熟(ripening)中程度からやや遅め
樹勢(vigour)強め
収量(yield)中程度
耐病性非常に高い(特に真菌病に強い)
その他の特徴乾燥・湿度変化に強く、寒冷地でも育成可能

その耐寒性と耐病性から、アメリカの伝統的なヨーロッパ系品種(Vitis vinifera)よりも育てやすいと評価されており、地元ワイン生産者の間で愛用されています。

4. 味わい

ノートンから造られるワインは濃厚で深みのあるルビー色が特徴です。強いタンニンとしっかりとした酸味を持ち、ブラックチェリーやブラックベリー、スパイス、時にペッパーやチョコレートの香りも感じられます。

典型的な味わいの特徴

  • 色調:深いルビーから紫色
  • 香り:ブラックチェリー、カシス、スパイス、ペッパー、チョコレート
  • 味わい:濃厚でしっかりしたタンニンと酸味のバランスが良い
  • ボディ:フルボディ

ノートンはフルボディで骨格のしっかりしたワインを造り、熟成にも耐えます。時間が経つと、タンニンがまろやかになり、スモーキーや土のニュアンスが加わります。

5. 主な生産地

アメリカ(United States)

  • ミズーリ州(Missouri)
    ノートンの歴史的な中心地であり、同州の代表品種です。ミズーリ州はノートンワインの質の高さで知られています。
  • バージニア州(Virginia)
    気候がノートン栽培に適しており、多くのワイナリーで使われています。バージニア産のノートンワインはしばしば深みのある味わいを持ちます。
  • カリフォルニア州(California)
    近年栽培が広がりつつある地域で、高品質なノートンワインも登場しています。
  • ミシガン州(Michigan)やケンタッキー州(Kentucky)
    寒冷な気候に適応したブドウとして注目されています。

6. 代表的なシノニム

ノートンは主にアメリカで栽培されているためシノニムは少ないですが、以下のような呼び名があります。

シノニム名名称の由来・背景主な生産地
Norton発見者ジェームズ・ノートンに由来アメリカ全土
Norton Grapes品種の英語名称アメリカ全土
Cynthianaケンタッキー州での別称ケンタッキー州

特にケンタッキー州では「Cynthiana(シンシアナ)」という別名でも親しまれています。


おわりに

ノートンはアメリカの伝統と個性を体現する赤ワイン用ブドウ品種です。耐寒性と耐病性に優れ、地域ごとに特色あるワインを生み出しています。

深い色調と豊かな果実味、力強いタンニンを持つノートンワインは、バーベキューやグリル料理、濃厚なチーズとの相性が抜群です。

アメリカワインの歴史を知る上でも非常に重要な品種であり、これからさらに注目が集まることでしょう。ぜひ一度、ノートンのワインを試してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
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