1. 概要
ロウレイロ（Loureiro）は、ポルトガル北部、特にミーニョ地方（Vinho Verde／ヴィーニョ・ヴェルデDOC）で広く栽培されている白ブドウ品種です。ポルトガル語で「月桂樹」を意味するこの名前が示す通り、フレッシュなハーブや白い花、柑橘類を思わせる芳香が特徴で、アロマティックな品種として高く評価されています。
ロウレイロは、単一品種としても、またブレンド用としても活躍し、特にヴィーニョ・ヴェルデの爽やかで軽やかなスタイルの白ワインに最適です。スペインのガリシア地方でも一部で栽培されており、「ローレイロ（Loureiro）」または「ロウレイラ（Loureira）」という名前で知られています。
2. 名前の由来
「ロウレイロ（Loureiro）」は、ポルトガル語で「月桂樹（ローリエ）」を意味します。この名前は、ブドウやワインの香りに月桂樹の葉のような爽やかで芳しいアロマが感じられることに由来しているとされています。スペイン語でも同様の意味を持ち、「ロウレイラ（Loureira）」として知られています。
香り高い品種の特徴を名前に取り入れることで、このブドウの個性が一目で分かるようになっています。
3. 栽培
ロウレイロは、湿潤で温暖な大西洋気候の影響を受ける地域に適応した品種で、特にポルトガル北部のミーニョ地方で多く栽培されています。耐病性にはやや注意が必要ですが、涼しい気候のもとでアロマティックな品質を発揮します。
栽培特性
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 萌芽（budding） | 早め |
| 成熟（ripening） | 早〜中庸 |
| 樹勢（vigour） | 中〜強め |
| 収量（yield） | 中〜高（管理次第で良質な収穫が可能） |
| 耐病性 | 灰色かび病やべと病にやや弱い |
| 最適環境 | 大西洋に近い湿潤な気候。風通しの良い畑が理想的 |
棚仕立て（pergola）などを用いることで、湿気や病害のリスクを減らしつつ、ブドウの成熟を促す工夫が行われています。
4. 味わい
ロウレイロは、非常にアロマティックな品種であり、白い花や月桂樹、レモンやライムといった柑橘系の香りを持つのが特徴です。ワインは軽やかで酸がしっかりしており、口当たりも爽やかで清涼感があります。
味わいの特徴
- 香り：オレンジブロッサム、ライム、レモングラス、月桂樹、白桃
- 味わい：高い酸、フレッシュで清涼感のある飲み口、やや塩味を感じることも
- アルコール度数：低〜中程度（9.5〜12.5％）
- ボディ：ライト〜ミディアム
- 熟成：基本的には若飲み向け。ただし高品質なものは数年の熟成も可能
食前酒や魚介類、サラダ、レモンを効かせた料理との相性が抜群です。
5. 主な生産地
ポルトガル：ヴィーニョ・ヴェルデ（Vinho Verde）
ロウレイロの栽培の中心地は、ポルトガル北部のミーニョ地方です。この地にあるDOC「ヴィーニョ・ヴェルデ」は、ロウレイロの他にもアルバリーニョ、アリント、アヴェッソなどの品種が使われることで知られています。
中でも、リマ渓谷（Vale do Lima）は、ロウレイロが最も伝統的に栽培されているエリアとされており、単一品種で造られたロウレイロ・ワインもここから多く出荷されています。
スペイン：リアス・バイシャス（Rías Baixas）
ガリシア地方にあるDOリアス・バイシャスの一部でも、ロウレイロ（現地では「Loureira」）が栽培されています。ただし、主要品種はアルバリーニョであり、ロウレイロは主にブレンド用です。
6. 代表的なシノニム
ロウレイロには、地域や言語の違いからいくつかのシノニムが存在します。以下に代表的な名称をまとめました。
| シノニム名 | 名称の由来・背景 | 主な生産地 |
|---|---|---|
| Loureira（ロウレイラ） | スペイン語形。女性名詞で、ガリシア地方で使用される | スペイン・ガリシア（リアス・バイシャス） |
| Loureiro Blanco（ロウレイロ・ブランコ） | 他のロウレイロ（黒ブドウ）との区別を明確にするため | ポルトガル北部 |
| Dourado（ドウラド） | 「金色」を意味する別名。色合いに由来する | ポルトガル・リマ渓谷 |
ただし、現代においては「Loureiro（ロウレイロ）」という呼称が最も一般的です。
おわりに
ロウレイロは、ポルトガル北部が誇るアロマティックな白ブドウ品種であり、特にヴィーニョ・ヴェルデにおいて重要な役割を果たしています。その華やかでフレッシュな香り、軽やかで酸のある味わいは、暑い夏の日にぴったりの白ワインを生み出します。
ロウレイロを使ったワインは、気軽なデイリーワインとしても、またアペリティフや軽食に合わせる1本としても最適です。ポルトガルワインに興味がある方には、ぜひ一度味わっていただきたい品種です。
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