ヒューゲル(Hugel)│アルザスの名門、300年以上の伝統を紡ぐ家族経営ワイナリー訪問解説

ヒューゲル(Hugel)はどんなワイナリー?

アルザス地方リクヴィルを旅するあなたへ:歴史ある家族経営ワイナリーの訪問
ヒューゲルの特徴を知りたい方へ:伝統と品質を守り続けるアルザスワインの名門を解説
訪問前の基本情報:初めて訪れる方や、訪問経験のある方がヒューゲルを思い出すために


この記事を読めば、アルザスを代表する生産者ヒューゲルの歴史・ワイン・哲学を1記事でしっかり理解できます。

リクヴィルの町並み
アルザスの小さな街、リクヴィル(Riquewhir)の風景。
私が訪れた際、その町並みの綺麗さに心揺さぶられました。
目次

基本情報

ヒューゲルの外観
リクヴィルの通りを歩いていると、ヒューゲルの試飲が行えるスペースを見つけることができます。

Hugel(ヒューゲル)は、アルザスの観光名所、リクヴィール(Riquewhir)村の中心に位置する1639年創業の家族経営ワイナリーです。12代続く名門でありながら、観光地の中にあるアクセスの良さが魅力。店頭では誰でも無料試飲が可能で、グラン・クリュを含む多彩なワインを購入できます。

  • 所在地: 3 Rue de la 1ère Armée, 68340 Riquewihr, France
  • 創業年: 1639年
  • スタイル: 家族経営、伝統主義
  • 見学・試飲: 無料/有料試飲あり(予約不要)
  • 言語対応: 英語、フランス語、ドイツ語
  • 公式サイト: https://www.hugel.com
KSK

日本のエノテカなど、様々なワインショップで見つけることができるヒューゲルを現地で飲むことができて非常に感激しました。
町並みも綺麗で、おとぎ話の住人になったような気持ちになります。

栽培の特徴

リクヴィルの遠景
リクヴィルの遠景。ブドウ畑に囲まれた大自然の中に小さな街がポツンとしています。

ヒューゲルは、リクヴィール村周辺に30ha以上の自社畑を所有しており、そのうち約50%がグラン・クリュに相当する優良区画です。標高200〜350mの斜面に位置する畑は、風通しが良く、昼夜の寒暖差も大きいため、酸がしっかりとした骨格のある白ワインが育ちやすい環境です。

農法はリュット・レゾネ(減農薬)を基本としつつ、一部はビオロジックにも移行中。手摘み収穫を徹底し、果実の健全性を重視しています。収量制限を厳格に行うことで、凝縮感のあるアロマとミネラルを伴うワインを実現しています。

KSK

街の住人に聞いてみると、リクヴィルの街は、アルザスの真珠に例えられることがあるそうです。私は、リボーヴィレから歩いてリクヴィルに向かいましたが、ブドウ畑に囲まれた小さな村がぽつんとある風景は圧巻でした。

栽培されているブドウ品種

ヒューゲルのブドウ畑のマップ
ヒューゲルのブドウが育てられている畑の区画が示されています。

ヒューゲルでは、アルザスの伝統品種が中心に栽培されています。特にリースリングとピノ・グリの評価が高く、いずれも遅摘みや選果を丁寧に行うことで複雑なスタイルに仕上げられています。

  • リースリング(Riesling)
     フラッグシップ。ドライで緊張感ある酸とミネラルが特徴。
  • ピノ・グリ(Pinot Gris)
     ややリッチでスモーキー。料理との相性に優れる。
  • ゲヴュルツトラミネール(Gewurztraminer)
     香り高く、ドライから甘口まで幅広く展開。
  • シルヴァネール(Sylvaner)
     軽やかでハーブ感のあるワインに。
  • ピノ・ブラン、ピノ・ノワール、ミュスカなども少量栽培。
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ヒューゲルでも様々なアルザスのブドウ品種のワインが作られています。他の生産者との飲み比べもしてみましたが、やはり全体的にレベルが高いワインが多い印象です。

醸造の特徴

伝統を重んじるヒューゲルでは、過度な介入を避けるナチュラルな醸造が基本です。ステンレスタンクとフードル(大樽)の併用により、果実の純粋さとテロワールの個性を最大限に表現しています。

  • 白ワインはステンレスタンク主体で発酵・熟成
     → フレッシュで透明感のある仕上がりに。
  • ピノ・グリやヴァンダンジュ・タルディヴはフードル(大型の樽)で熟成
     → 複雑な香りと奥行きが生まれます。
  • マロラクティック発酵は品種・ヴィンテージにより調整
  • 清澄・濾過は最小限。瓶詰後も熟成を経て出荷

ヴァンダンジュ・タルディヴ(遅摘み)やセレクション・ド・グラン・ノーブル(貴腐ワイン)も丁寧に造られており、甘口スタイルにも深い哲学と技術が宿っています

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アルザス特有のワインのラインナップをヒューゲルでも楽しむことができます。私は試飲した中では、白ワインであるリースリングやゲヴュルツトラミネールといった代表的なものが、月並みですが、アルザスらしさを味わうことができてお気に入りでした。

主なワインリスト

ヒューゲル店内のワインの試飲の様子
店内での試飲の様子。注いだワインボトルも並べて試飲させていただけます。
ワイン名タイプ品種特徴
ヒューゲル・リースリング・クラシック(Hugel Riesling Classic)白・辛口リースリング石灰土壌らしいミネラルと引き締まった酸
ヒューゲル・ピノ・グリ・トラディシオン(Hugel Pinot Gris Tradition)白・中辛口ピノ・グリ熟した果実とスモーク香、豊かなボディ
ヒューゲル・ゲヴュルツトラミネール・クラシック(Hugel Gewurztraminer Classic)白・やや甘口ゲヴュルツトラミネールライチやバラのアロマ、華やか
ゲヴュルツトラミネール・ヴァンダンジュ・タルディーヴ(Gewurztraminer Vendange Tardive)白・甘口ゲヴュルツトラミネール遅摘みによる凝縮感と芳醇な香り
クレマン・ダルザス・ヒューゲル(Crémant d’Alsace Hugel)発泡・辛口ピノ・ブラン主体繊細な泡とクリーンな果実味

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なんと試飲は予約無しで、無料で試させてくれました!私は日本で試したことのなかったシルヴァネールのボトルを購入して帰りました。

コラム:旅先で感じた、ヒューゲルならではの魅力

ヒューゲルの店内の様子
ヒューゲルの店内の様子。日本人にとって気の落ち着く雰囲気が素晴らしいです。
  • 🟡 「黄色いラベル」は、観光地でも信頼できる品質の証
     ヒューゲルのクラシック・シリーズは、黄色いラベルが目印。どのレストランでも見かける理由が、試飲で納得できます。
  • 🍷 ワイン初心者でも安心できる、丁寧な接客
     テイスティングルームでは英語での説明もわかりやすく、ワインに詳しくなくても楽しめました。
  • 🏰 村歩きとセットで楽しめる、理想的なロケーション
     歴史ある街並みの中にあるからこそ、試飲→ランチ→散策の流れが自然に組めます。
KSK

ぜひアルザスを観光されるときは、リクヴィルまで足を伸ばして、ヒューゲルを訪れてみてはいかがでしょうか。コルマールからバスで1時間ほどで行くことができるので、日帰りツアーも可能です!!

KSK

ヒューゲルの社員にお聞きしましたが、アルザスはフランス語圏とドイツ語圏の入り混じった地域でもあるので、カタカナですが、ヒューゲルのほかに、ウージェルということもあるそうです!


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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
10カ国100箇所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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