グレーラ(Glera)│名称変更されたプロセッコの主要品種

グレーラ(Glera)│名称変更されたプロセッコの主要品種
目次

1. 概要

グレーラは、イタリア北東部のヴェネト州を中心に栽培されている白ブドウ品種です。主にスパークリングワインの代表格である「プロセッコ」の主要品種として知られています。

グレーラは爽やかで軽快な酸味とフルーティーな香りが特徴で、飲みやすく食事との相性も良いことから世界中で人気を集めています。プロセッコの生産量の大半を占めるこの品種は、イタリアのスパークリングワイン文化を支える重要な存在です。

2. 名前の由来

「グレーラ(Glera)」の名前は、主にその原産地とされるイタリア北東部の小さな村「グレーラ(Glera)」に由来すると考えられています。

もともとは「プロセッコ」という名前で呼ばれていましたが、2010年にワインの原産地呼称のルール改正により、品種名を「グレーラ」に統一し、ブランドとしてのプロセッコと区別されるようになりました。

この区分けは、ワインの品種と産地の明確化を図るためであり、より品質の認識向上につながっています。

3. 栽培

グレーラは比較的育てやすく、次のような特徴があります。

  • 萌芽(budding):やや早めに萌芽しますが、晩霜の被害を受けやすいため注意が必要です。
  • 成熟(ripening):中程度の早さで成熟し、秋の収穫期に適した品種です。
  • 樹勢(vigour):強めの樹勢で、管理次第で高収量が期待できます。
  • 収量(yield):非常に高い収量を得られるため、適切な剪定が品質を左右します。
  • 耐病性:うどんこ病や灰色かび病に対してやや弱い面がありますので、定期的な防除が必要です。
  • 好む土壌:粘土質から石灰岩質の土壌を好み、排水性の良い土地でより良い品質を生み出します。

このため、ヴェネト州の丘陵地帯の気候と土壌がグレーラの栽培に非常に適しています。

4. 味わい

グレーラから造られるワインは、爽やかな酸味と華やかな香りが特徴です。

  • 外観:淡い麦わら色から輝く黄色。
  • 香り:青リンゴや洋ナシ、白い花や柑橘類のフレッシュな香りが感じられます。時折、ミネラル感やハーブのニュアンスも現れます。
  • 味わい:軽快でキレの良い酸味が口中を爽やかにし、フルーティーさとほんのりとした甘みがバランスよく調和しています。
  • 熟成:若いうちに飲むのが一般的で、フレッシュな果実味を楽しむタイプのワインです。

プロセッコのようなスパークリングワインに仕立てられることが多く、食前酒や軽めの料理との相性が抜群です。

5. 主な生産地

グレーラの主要な生産地はイタリアのヴェネト州を中心としています。

  • ヴェネト州(Veneto)
    特にヴェネト州のトレヴィーゾ県やヴェネツィア県周辺が主な栽培地域で、ここで造られるプロセッコは世界的にも有名です。特にプロセッコDOC、プロセッコDOCGの原料として使われています。
  • フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州(Friuli-Venezia Giulia)
    隣接するこの地域でも栽培されており、白ワインやスパークリングワインの原料として利用されています。
  • その他
    イタリア以外では、オーストラリアやニュージーランドなど新世界の冷涼な地域でも少量栽培され、軽やかでフルーティーなスタイルのワインが生まれています。

6. 代表的なシノニム

グレーラは長い間「プロセッコ」という名称で呼ばれてきましたが、2010年以降は正式な品種名として「グレーラ」に統一されています。そのため、以下のようなシノニムが存在します。

シノニム名名称の由来・背景主な生産地
Prosecco(プロセッコ)かつての品種名であり、産地名としても使用。ヴェネト州北部の村名に由来。イタリア(ヴェネト州、フリウリ州)
Glera(グレーラ)現在の正式な品種名。2010年に認定。イタリア(ヴェネト州中心)
Prosecco Tondo(プロセッコ・トンド)伝統的な呼称の一つで、丸みのある形状のブドウを指す場合がある。イタリア

おわりに

グレーラは、イタリアのプロセッコをはじめとするフレッシュで飲みやすいワインの原料として欠かせない重要な白ブドウ品種です。

その爽やかな酸味と華やかな香りは、食前酒や軽食、魚介料理など多彩なペアリングに適しています。

これからの季節、プロセッコやグレーラを使ったスパークリングワインを楽しみながら、イタリアのワイン文化に触れてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
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