ガメイ(Gamay)│果実味豊かで親しみやすい赤ワインを生む品種

ガメイ(Gamay)果実味豊かで親しみやすい赤ワインを生む品種

ガメイ(Gamay)はどんなブドウ品種?

軽やかな赤ワインを探しているあなたへ:ボジョレーだけじゃない、ガメイの多彩な魅力
ガメイの特徴を知りたい方へ:果実味あふれるスタイルから熟成型まで幅広く解説
飲む前の基本情報:初めてガメイを飲む方や、違う産地のスタイルを知りたい方にもおすすめ


この記事を読めば、親しみやすさと奥深さを併せ持つブドウ品種ガメイの特徴と世界各地での展開について、1記事でしっかり理解できます。

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ガメイで造られるボジョレー・ヌーボは、毎年そのワインの造りの指標となると言われています。
目次

概要

ガメイ(Gamay)は、フランス・ブルゴーニュ地方の南部に位置するボジョレー(Beaujolais)地区を代表する黒ブドウ品種です。早飲みに適したフルーティでライトな赤ワインを生み出すことで知られており、毎年11月に世界中で楽しまれる「ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais Nouveau)」でも有名です。

しかし、ガメイの魅力はそれだけではありません。花の香りや赤系果実のアロマ、軽やかでジューシーな味わいをもち、初心者でもとっつきやすく、かつ熟成によって深みが増す上質なワインも存在します。

酸味と果実味のバランスがよく、冷やして楽しめる赤ワインとしても人気があり、カジュアルな食事との相性も抜群です。

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ガメイはその華やかさや軽さから非常にカジュアルに楽しむことができます!11月のボジョレー・ヌーヴォーの時期のみならず、ぜひ通年で楽しむ勝ちがあるワインの一つではないかと思っています。

名前の由来

「Gamay(ガメイ)」という名前は、ブルゴーニュ地方南部の村「ガメ(Gamay)」に由来します。この村はディジョン近郊にあり、14世紀にはすでにこのブドウが栽培されていたという記録があります。

ピノ・ノワールに比べて収量が多く、栽培も比較的容易であったため一時はブルゴーニュ全域で広まったものの、1395年にブルゴーニュ公フィリップ豪胆公が「品質が劣る」として栽培を禁止しました。これによりガメイはブルゴーニュ北部から追われ、ボジョレー地方に定着したという歴史があります。

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ガメイの綴りは、Gamayです。私は、一度gameyと書いてしまったことがありますが、これは、「いかがわしい」とか「獣の臭いの」といった意味になってしますので、注意してください笑

栽培

ガメイ(Gamay)は、比較的栽培が容易で、生育が早く、収量が高く、発芽と成熟のタイミングが早いため、冷涼〜温和な気候でも十分に成熟しやすく、短い生育期間に適しています

ガメイは勢いのある生育(vigour)を示す傾向があるため、栽培においては収量管理が非常に重要です。過剰な収量は品質の低下を招き、ワインにおけるアロマや味わいの薄さにつながるため、グリーンハーベストや剪定によってバランスを取ることが求められます。

また、土壌との相性も重要で、特に花崗岩やシスト(結晶片岩)といった水はけの良い土壌を好みます。このような環境では、ブドウの果実がより凝縮し、ストラクチャーとミネラル感のあるワインが生まれます。石灰質土壌ではより軽やかでチャーミングなスタイルになります。

最後に、病害への耐性は中程度で、灰色カビ病やべと病への注意が必要です。そのため風通しの良い仕立て方(例:ゴブレ仕立て)が伝統的に用いられてきました。

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ガメイにとって替わられて、ピノ・ノワールが栽培されたことを考えると、ガメイの栽培の特徴が覚えやすいと思います。受精の強さを考えることが重要かと思います。

味わい

ガメイから造られるワインは、そのフレッシュで果実味豊かなスタイルで知られています。特に赤い果実の香りと軽やかなタンニンが特徴的で、早飲み用から熟成タイプまで幅広いバリエーションがあります。

主な香り・風味

  • 果実: イチゴ、チェリー、ラズベリー、クランベリー
  • 花: スミレ、バラ、ゼラニウム
  • スパイス・その他: 胡椒、キャンディ香、バナナ(マセラシオン・カルボニック由来)

味わいの構造

  • 酸味: 中〜高
  • タンニン: 軽めで柔らかい
  • ボディ: 軽〜中程度
  • アルコール度数: 中程度(12.5~13.5%程度)
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ガメイの特徴はなんといっても、ジューシーで飲みやすく、軽快な飲み口であり、私も気楽に楽しみたいときにはガメイを選びます。一方、ボジョレーの一部の地域では、高品質なガメイは複雑さと熟成能力を兼ね備え、ピノ・ノワールに似た繊細なスタイルになることもあります!

5.主な生産地

フランス(ボジョレー/ブルゴーニュ地方)

  • ガメイの本拠地。全世界のガメイ栽培面積の約70%を占める
  • 特にボジョレー・クリュ(10の優良村)では高品質なワインが造られており、長期熟成も可能
  • ボジョレー・ヌーヴォーはマセラシオン・カルボニックという特殊な醸造法で、果実味とフレッシュ感を強調

スイス

  • ガメイはピノ・ノワールとブレンドされることも多く、地元では「ドールマン」というスタイルで人気
  • レマン湖周辺ではフルーティなスタイルが主流

カナダ(オンタリオ、ブリティッシュ・コロンビア)

  • 冷涼な気候を活かし、酸味がしっかりとした爽快なガメイが生まれる
  • ナチュラルワインとしても注目を集める

アメリカ(オレゴン、カリフォルニア)

  • ピノ・ノワールの代替として注目されており、冷涼な気候の品種として拡大傾向
  • 果実味豊かでクリーンなスタイルが多い

ニュージーランド

  • クリーンで酸のしっかりしたスタイルが特徴
  • 中央オタゴやホークス・ベイで注目される生産者も増加中
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個人的には、スイスで飲むガメイが、ボジョレーの次に有名ではないかと思うほど、特徴的だと思っています!ロゼワインも含めて、その違いに驚くはずだと思います!

代表的なシノニム

シノニム名名称の由来・背景主な生産地
Gamay Noir à Jus Blanc(ガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブラン)正式名称。「白い果汁をもつ黒ブドウのガメイ」を意味する。フランス(特にボジョレー)
Bourguignon Noir(ブルギニョン・ノワール)「ブルゴーニュの黒ブドウ」の意味。かつてブルゴーニュ地方で使われていた呼び名。フランス(ブルゴーニュ)
Petit Gamai(プティ・ガメイ)小粒のガメイ。粒の大きさに由来するローカルな呼称。フランス中部・南部など
Gamay Beaujolais(ガメイ・ボジョレー)アメリカやカナダで使われたことのある呼称。別品種(ピノ・ノワールのクローン)と混同されやすい。アメリカ(特にカリフォルニア)
Gamay Fréaux(ガメイ・フレオー)ガメイ・ノワールの変異系の一つで、研究者Fréauxにちなんで命名。フランス
Plant Robert(プラント・ロベール)スイス・ヴォー州でのガメイのローカル名。スイス(ラヴォー地区など)
Gamay de Bouze(ガメイ・ド・ブーズ)果肉まで赤いティントレラ系の品種。ガメイの変異種であるが、別品種扱いされることもある。フランス中部(ロワール周辺)
Gamay de Chaudenay(ガメイ・ド・ショードネ)ガメイ・ド・ブーズ同様に、果肉が赤いティントレラ系の変異種。フランス
Noirien(ノワリアン)ガメイとピノ・ノワールを混同していた時代に使われた名称。古いブルゴーニュ文献など
Franc Noir de la Haute-Saône(フラン・ノワール・ド・ラ・オート=ソーヌ)東フランスのオート=ソーヌ地方での古称。フランス(東部

備考

  • Gamay Beaujolais という呼称は特に注意が必要です。アメリカでは一時期ピノ・ノワールの変異種を「Gamay Beaujolais」として栽培・販売していた歴史があり、本来のGamay Noirとは異なる品種であることがあります。
  • Gamay de Bouze や Gamay de Chaudenay は、Gamay Noirの突然変異で果肉も赤い「ティントレラ系ブドウ」として区別されることがあり、醸造で色調補強のために使われるケースもあります。

まとめ

ガメイは、軽快でフレッシュな赤ワインを楽しみたい方に最適のブドウ品種です。特にフルーティでジューシーなスタイルは、ワイン初心者にも飲みやすく、ピクニックや気軽な食事会などにぴったりです。
一方で、ボジョレー・クリュのようにテロワールを反映し、深みと複雑さを備えたワインも存在しており、ワイン愛好家にとっても奥深い魅力があります。冷やして楽しむ赤ワインとしても注目されており、季節を問わず気軽に楽しめる万能型の赤ワイン用ブドウ品種といえるでしょう。

KSK

ほか、ブドウ品種の記事もいくつかありますのでぜひ御覧ください!

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
10カ国100箇所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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