フミン(Fumin)│イタリアのヴァッレ・ダオスタの伝統的赤ブドウ品種

フミン(Fumin)│イタリアのヴァッレ・ダオスタの伝統的赤ブドウ品種
目次

1. 概要

フミンはイタリア北西部、アルプス山脈の麓に位置するヴァッレ・ダオスタ州(Valle d’Aosta)を代表する赤ワイン用ブドウ品種です。ヴァッレ・ダオスタはイタリア最も小さなワイン生産地域のひとつで、標高の高い山岳地帯に位置しているため、フミンは高地の冷涼な気候に適応した品種として知られています。

フミンから造られるワインは、しっかりとした酸味とタンニン、繊細な果実味が特徴で、地元では単独の品種ワインだけでなく、ブレンド用としても用いられています。

2. 名前の由来

「Fumin(フミン)」の名称はイタリア語圏のヴァッレ・ダオスタ地域に伝わる呼び名に由来し、語源には諸説ありますが、「煙(fumo)」を連想させることから、ワインにわずかなスモーキーなニュアンスをもたらすことにちなんだとも言われています。

古くから地元の農家により栽培されてきた伝統品種であり、地域の文化や歴史と深く結びついています。

3. 栽培

フミンは標高の高い冷涼な環境での栽培に適しており、寒さや霜に強いのが特徴です。山岳地帯での急斜面栽培が多く、日照をしっかり確保しながらも夜間の冷涼な気温がブドウの酸味を保ちます。

栽培特性

特性内容
萌芽(budding)早め
成熟(ripening)中程度からやや遅め
樹勢(vigour)中程度
収量(yield)低めから中程度
耐病性中程度(うどんこ病などに注意が必要)
その他の特徴乾燥した夏の気候を好み、過湿には弱い

標高が高く、昼夜の寒暖差が大きい環境下で育つため、凝縮した香りと酸味を持つブドウが収穫できます。急斜面での手作業が多いため、生産量は限られています。

4. 味わい

フミンから造られるワインは、色調は中程度のルビー色で、華やかな赤系果実の香りが特徴です。チェリーやラズベリーのようなフルーティーなアロマに加え、スパイスやわずかなミネラル感も感じられます。

典型的な味わいの特徴

  • 色調:鮮やかなルビー色
  • 香り:チェリー、ラズベリー、スパイス、ミネラル
  • 味わい:繊細な酸味としっかりしたタンニンのバランスが良い
  • ボディ:ミディアムボディ

タンニンはきめ細かく、飲み口は滑らかですが、適度な酸味とともにしっかりとした骨格を持つため、熟成も可能です。ヴァッレ・ダオスタの伝統的な料理や山の肉料理との相性が良いです。

5. 主な生産地

イタリア(Italy)

  • ヴァッレ・ダオスタ州(Valle d’Aosta)
    フミンはこの州でほぼ独占的に栽培されており、同州の赤ワインの主要品種の一つです。小規模生産のため、地域の特産品として高く評価されています。
  • 近隣のピエモンテ州(Piemonte)
    少量ながら栽培されることもありますが、主にヴァッレ・ダオスタが本場です。

6. 代表的なシノニム

フミンは地域限定の品種であるため、シノニムは多くありませんが、以下の名称が知られています。

シノニム名名称の由来・背景主な生産地
Fuminヴァッレ・ダオスタの呼称ヴァッレ・ダオスタ州
Fumintドイツ語圏での呼称の一部と混同されることも

類似名の「Fumint」はハンガリーなど中欧のワイン用語で見られますが、品種としては別物であるため混同に注意が必要です。


おわりに

フミンはイタリアの小さな山岳地帯、ヴァッレ・ダオスタ州の風土が育んだ希少な赤ブドウ品種です。標高の高い冷涼な環境で育つため、繊細でバランスの良い酸味とタンニンを持つワインを生み出します。

地域の伝統的な料理と合わせて楽しむことで、イタリア北西部の自然と歴史を感じられる特別な一本となるでしょう。まだあまり知られていない品種ですが、希少価値も高く、今後の注目株として期待されています。

ヴァッレ・ダオスタのワインを探す際は、ぜひフミンのワインにも注目してみてください。

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
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