ドメーヌ・ラ・ブティニエール(Domaine La Boutinière)│シャトーヌフ・デュ・パプの伝統を守り続ける家族経営ワイナリー

シャトーヌフ・デュ・パプの生産者ドメーヌ・ラ・ブティニエール(Domaine La Boutinière)はどんなワイナリー?

南仏シャトーヌフ・デュ・パプに旅行するあなたへ:歴史ある家族経営ワイナリーを訪問
ラ・ブティニエールの特徴を知りたい方へ:13品種を巧みにブレンドする伝統的スタイルを解説
訪問前の基本情報:初めて訪れる方や、訪問経験のある方がワイナリーを思い出すために


この記事を読めば、シャトーヌフ・デュ・パプの魅力を体現する生産者ドメーヌ・ラ・ブティニエールの基本情報を1記事でしっかり理解できます。

ラ・ブティニエールのワインボトル
試飲させていただいたドメーヌ・ラ・ブティニエールのワインボトル。
目次

基本情報

ラ・ブティニエールのカーヴ
店内のカーヴからは非常に古いワインも保管されており、歴史を感じることができます。

ドメーヌ・ラ・ブティニエール(Domaine La Boutinière)は、南フランス・ローヌ地方の名高いシャトーヌフ・デュ・パプAOCに位置する家族経営のワイナリーです。その創設は1920年に遡り、フェリックス・ヴィダルによって設立されました。以来、100年以上にわたり、4代にわたって伝統を守りながらワイン造りを続けています。

現在ワイナリーを率いるのは、4代目の当主フレデリック・ブタン氏。1997年に家業を継いでからというもの、彼は畑の生態系と伝統的な醸造技術を大切にしながらも、時代の要請に応じたサステナブルなアプローチも積極的に取り入れているとお聞きしました。

ドメーヌの本拠地は、シャトーヌフ・デュ・パプの中心部に位置しており、畑は計11ヘクタール。赤ワイン用の区画が中心ですが、希少な白ワインの生産も行っています。さらに、コート・デュ・ローヌやヴァン・ド・ペイ(IGP)区画も保有しており、全体では17ヘクタールのブドウ畑を管理しています。

  • 所在地: 1 Rue Commandant Lemaître, 84230 Châteauneuf-du-Pape, France
  • 創業: 約100年前、現当主で4代目
  • 生産量: 年間約40,000本
  • 栽培面積: 約12ha(赤9ha、白3ha)
  • 試飲: 無料、予約不要
  • 公式サイト: https://www.domainelaboutiniere.fr/en/
KSK

私は、アヴィニョンからのツアーで訪問させていただきました。非常に気さくで様々なワインを紹介していただけたのが印象的でした。
南仏の観光ツアーとして、オランジュの街やポン・デュ・ガールなど一体になったツアーを選んで訪問されるのがおすすめです!

栽培の特徴

ドメーヌ・ラ・ブティニエールの最大の魅力のひとつが、畑の多様性とそこから生まれる複雑なテロワール表現にあります。ワイナリーは8つの異なる区画を所有しており、代表的なものには「ラ・クルー(La Crau)」「ル・ブクー(Le Boucoup)」「ル・ミギエール(Lou Miguière)」などが挙げられます。

ラ・クルーはシャトーヌフ・デュ・パプの中でも最も名高い区画のひとつで、特に樹齢100年を超えるグルナッシュが植えられている古木の畑は、ドメーヌのフラッグシップである「グランド・レゼルヴ」の原料になります。このような古樹は深く根を張り、表土に影響されにくく、ミネラル豊富でバランスの取れた果実を結実させます。

土壌は典型的な「ガレ・ルレ(galets roulés)」と呼ばれる丸く滑らかな大きな石に覆われた粘土質で構成されており、昼間に太陽の熱を蓄え、夜間にその熱をブドウに返すことで、果実の成熟が促進されます。

栽培は環境保全を重視したアプローチで行われており、農薬や化学肥料の使用は最小限に抑えています。HVE(Haute Valeur Environnementale)レベル3という、フランスの環境価値に関する高位認証も取得しており、まもなく有機農法の認証取得も視野に入れています。ブドウはすべて手摘みで収穫され、畑での選果も行われるなど、品質管理においても徹底しています。

KSK

生産の仕方については、とてもこだわりを持たれているようでした。シャトーヌフ・デュ・パプの良さを知るのにはスタンダードとなるような造りをされている印象でした。

醸造の特徴

ラ・ブティニエールのワインの試飲の様子
様々なワインの試飲の様子。作り方の違いを知ることができます。

醸造においても、ドメーヌ・ラ・ブティニエールは伝統を大切にしながら、モダンな技術も適切に取り入れる柔軟性を持っています。赤ワインの発酵は主に円錐形のコンクリートタンクや大樽で行われ、温度管理された状態で18〜31日間のマセラシオン(果皮浸漬)が行われます。これは、果皮からの抽出を穏やかにコントロールし、ワインに力強さと複雑なアロマを与えるためです。

熟成にはフレンチオークの大樽(foudre)や、場合によっては小樽(バリック)も使用されますが、新樽の使用は控えめにし、果実味とテロワールを前面に出すスタイルを貫いています。特に「グランド・レゼルヴ」などの上級キュヴェでは、木樽と大樽を併用しながら最低12ヶ月以上の熟成を行い、ワインに深みと複雑さを加えています。

また、伝統的なパンチングダウン(ピジャージュ)も取り入れられており、果帽(果皮や種子が浮いた層)を手作業または機械で押し沈めることで、やわらかくタンニンを抽出し、丸みのある飲み口を実現しています。

白ワインに関しては、ステンレスタンク発酵が中心で、一部は大樽で熟成されます。フレッシュさを保ちつつも、アロマの複雑さや口当たりの豊かさが表現されており、赤ワインに勝るとも劣らない個性を持ちます。

KSK

様々な作り方や品種の違いを上記のワインの作り方事に説明いただけて、非常に勉強になるテイスティングでした。

主なワインリスト

ラ・ブティニエールのグラス
テイスティングにあたっては、専用のグラスとともに、詳細なペーパーを参照しながら勉強できました。
ワイン名タイプ特徴
シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ・トラディション(Châteauneuf-du-Pape Rouge Tradition)グルナッシュ主体。果実味とバランスの良いスタイル。比較的若いうちから楽しめます。
シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ・グランド・レゼルヴ(Châteauneuf-du-Pape Rouge Grande Réserve)樹齢100年を超える古木から。複雑で熟成ポテンシャルが高い一本。
シャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン・トラディション(Châteauneuf-du-Pape Blanc Tradition)フレッシュな白桃や柑橘のアロマにナッツのニュアンス。多品種ブレンド。
コート・デュ・ローヌ・ルージュ(Côtes du Rhône Rouge)フルーティで親しみやすい味わい。日常的に楽しめる一本。
ヴァン・ド・フランス・ロゼ(Vin de France Rosé)ロゼ明るい果実味と爽やかな酸が魅力の軽やかなロゼワイン。

コラム(豆知識)

  • 🔸 ラ・クルー区画の存在感
     グランド・レゼルヴの原料はすべて「ラ・クルー」の100年超えの古木から収穫される希少なブドウ。シャトーヌフ・ド・パプの真髄ともいえる区画です。
  • 🔸 HVEレベル3認証と環境保全への取り組み
     除草剤不使用、有機肥料の導入、野生動物との共生に配慮した畑管理など、環境と共存する姿勢が評価されています。
  • 🔸 家族経営ならではの個性と一貫性
     創業から100年以上にわたって一貫した哲学を持ち、機械化に頼らず、手間ひまを惜しまない丁寧なワイン造りが続けられています。
KSK

アビニョンの街からほど近く、半日ワイナリーツアーの観光を南仏から行くのであれば、とてもおすすめです!

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
10カ国100箇所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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