デンビーズ・ワイン・エステート(Denbies Wine Estate)はどんなワイナリー?
ロンドンから気軽にアクセス:郊外のヴィクトリアン邸園で英国最大級のぶどう園を散策
デンビーズの特徴を知りたい方へ:イギリス国内最大のワイナリーが生み出す多彩なワインと体験を解説
訪問前の基本情報:初めて訪れる方や、以前訪れたことがある方が再び魅力を思い出すために
この記事を読めば、気候の冷涼さを活かした現代的スタイルのデンビー・ワイン・エステートの基本情報を1記事でしっかり理解できます。

基本情報
デンビーズ・ワイン・エステート(Denbies Wine Estate) は、イングランド南東部サリー州ドーキング近郊、ノースダウンズの南斜面に広がる広大なワイン畑で、一貫して運営される単一エステートとして英国最大規模を誇ります。全体で約380エーカー(約154ヘクタール)の敷地に、うち約265エーカー(約107ha)がぶどう畑として使用され、年間約1,000,000本のワイン生産能力があります。
- 創業年:1986年にぶどう栽培開始、1993年にワイナリー兼ビジターセンター完成
- オーナー:1984年からホワイト家(Christopher/Adrian White氏ら)による独立経営
- 気候・土壌:チョークとフリントを多く含む白亜質土壌、南向き尾根による温暖マイクロクリマ特性
- 公式URL:https://www.denbies.co.uk/

ロンドンから1時間程度の電車旅で訪問できるワイナリーです!ロンドン観光の際にワイナリー巡りをしたいときには非常におすすめできるワイナリーです!
歴史
- 起源:16世紀にJohn Denbyが農場を開墾。1734年にJonathan Tyersが購入し「死の谷」をテーマにしたゴシック庭園を設けた。
- 貴族所有:1787年に銀行家Joseph Denisonが取得、その後Thomas Cubittが1850年に拡張、19世紀半ばには約3,900エーカーに拡大した。
- 衰退と再興:第二次世界大戦後、維持困難により邸宅は1953年に解体。1984年にBiwaterに買収され、1986年からぶどう栽培が始まり、1993年にワイナリーがオープン。



イギリスでは、数少ない歴史あるワイナリーであることが当日伺うことができました。
栽培の特徴
- 土壌と気候:チョーク&フリントが主体の白亜質土壌。南西向き斜面と温暖マイクロクリマに恵まれ、冷涼地でも質の高いぶどうが育成される。
- ぶどう品種:16種類以上を植栽し、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエなどを中心に、オルテガ、バッカス、セイヴァル・ブラン、ミュラー・トゥルガウ、ルンドフェルダーなど多様に対応。
- 収穫方法:約30人の作業員による手摘みと、穏やかな機械震動式収穫機を併用。早摘み精度を保ちつつ効率性を確保。
- 持続可能性:2024年4月にNet Zero認証、2024年7月にはB Corp認証を取得するなど、環境意識が高く、除草剤を使用せず、野草栽培や電気自動車充電ステーションの整備などを進めています。





ワインツーリズムを体現したような施設がたくさんあります。宿泊施設もさることながら、テスラの充電ステーションなどがあり、ワイン以外も、施設として見ごたえがたくさんあります!
醸造の特徴
- 醸造施設:1993年竣工のシャトー調ワイナリーでは、生産過程を見学可能。ステンレスタンク、樽、瓶内発酵から瓶詰めまで一貫管理。
- 泡とスティルワイン:
- スパークリング:瓶内二次発酵による伝統的メソッド、澱熟成で複雑性を獲得。
- スティル:穏やかな除梗・圧搾・適度なオーク熟成・マロラクティック発酵・シュールリーなどでバランス重視。
- テイスティングと教育:見学ツアーを通じて訪問者に醸造過程の理解を深めさせる設備とツアー体制が整う。



ちなみにワイナリーツアーによって、飲める品種や説明していただけるツアーが異なり、ニーズに合わせて様々なツアーを用意していただいています。私は、2−3時間の畑を見ながら試飲と製造工場を見学させていただくツアーでしたが、非常に見応えがありました。
主なワインリスト


ワイン名(読み仮名) | タイプ | 品種構成(仮訳) | 特徴 |
---|---|---|---|
サリー・ゴールド(Surrey Gold ) | 白ワイン(Still White) | ミュラー・トゥルガウ他 | 1993年デビューのブランド。イングランドを代表する白 |
チョーク・リッジ・ロゼ(Chalk Ridge Rosé ) | ロゼ・ワイン | ピノ・ノワール主体 | 2010年IWC国際金賞受賞。世界的に評価されたロゼ |
キュビット・ブラン・ド・ノワール(Cubitt Blanc de Noirs ) | スパークリング | ピノ・ノワール主体 | 泡物タイプ。食との相性も良く、人気 |
ノーブル・ハーベスト(Noble Harvest ) | デザートワイン(甘口) | オルテガ他 | 年間100本限定生産。デザートとの相性抜群 |
ホワイトダウンズ・スパークリング・ロゼ(Whitedowns Sparkling Rosé ) | スパークリング・ロゼ | ピノ・ノワール | 爽やかさ際立つ泡。 |



このワイナリーの畑は、シャンパーニュと同じチョーク質の土壌が特徴的でした。落ちている白い石を使って、黒板のように文字がかけるので、ぜひ石にも着目してください。
そうした土壌で造られたスパークリングワインは非常に美味でした。
コラム
- 英国ワインの先進事例
Denbiesは、英国ワイン界の黎明期から常に先進的なポジションを取っており、その成功の鍵は徹底した品質追求と革新的な経営にあります。 - 観光資源としての充実
ワイナリーツアー、レストラン、映画館、ホテル、パークランなど多様な施設を兼備し、“ワイン+体験”産業として地域に根付いています。 - 地域との共生
毎週行われるパークランや歩行ルート整備など、地元住民にも開かれた場として親しまれており、地元社会との良好な関係性を形成しています。



訪れてみた印象は、ワインのテーマパークみたいな感じでした。一日ゆっくり楽しめるので、ロンドン観光の半日をワイナリーツアーとして入れてみてはいかがでしょうか?
まとめ



ほかにもフランスやスペインでのワイナリー訪問記を書いておりますので、ぜひご覧ください!






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