【保存版】クリュ・デュ・ボジョレ(Crus du Beaujolais)│10の特級畑が魅せる“本気のガメイ”ワイン

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クリュ・デュ・ボジョレ(Crus du Beaujolais)とはどんなワイン産地?

ボジョレー北部を旅するあなたへ:「ボジョレー・ヌーヴォー」で有名なボジョレー地方ですが、その北部に位置するクリュ・デュ・ボジョレ(Crus du Beaujolais)は、真の実力派ワインが揃う特別なエリアです。ここでは、単一村に認定された10のAOC(原産地統制呼称)が、それぞれ個性的な味わいを持つ赤ワインを生み出しています。

ガメイ種が織りなす多彩な表現を知りたい方へ:クリュ・デュ・ボジョレーでは、すべてのワインがガメイ種100%で造られていますが、土壌、標高、日照条件の違いによって、驚くほどバリエーション豊かなスタイルが存在します。軽やかでフローラルなものから、凝縮感があり熟成可能なものまで、その表現力の幅に驚かされることでしょう。

この記事を読めば、クリュ・デュ・ボジョレの魅力と産地の基本情報を1記事でしっかり理解できます。

ボジョレーの属するブルゴーニュの畑。大陸性ならではの落ち着いた雰囲気が特徴的でした。
目次

クリュ・デュ・ボジョレとは?

ボジョレーはフランスのブルゴーニュ地方の最南端に位置し、クリュ・デュ・ボジョレはその北部、マコンに近い一帯に広がっています。1936年以降に順次AOCとして認定された10の村または区画が、それぞれの名を冠したワインを生産しています。

クリュ名(読み方)主な特徴(味わい・スタイル・個性)
Saint-Amour(サン・タムール)フローラルでチャーミング、軽やかで親しみやすいワイン。バレンタインにも人気。
Juliénas(ジュリエナ)スパイシーでしっかりした骨格、濃厚な果実味と余韻の長さが特徴。
Chénas(シェナ)ボジョレー最小のクリュ。しっかりしたタンニンと熟成ポテンシャルを持つ力強いスタイル。
Moulin-à-Vent(ムーラン・ア・ヴァン)「ボジョレーの王」。豊かな構造と長期熟成向き。ブルゴーニュに匹敵する重厚さを誇る。
Fleurie(フルーリー)優雅で香り高く、花のようなアロマ。シルキーなタンニンで女性的とも評されるスタイル
Chiroubles(シルーブル)最も標高が高く、爽やかで軽快。フレッシュでエレガントな果実味が魅力。
Morgon(モルゴン)力強く熟成向き。「モルゴン化(morgonner)」=ブルゴーニュ的変化を意味する奥深さ。
Régnié(レニエ)最も新しいクリュ。明るくフルーティーで、飲みやすくモダンなスタイル。
Brouilly(ブルイィ)10クリュの中で最大。赤系果実とやや土っぽさのバランスがとれた親しみやすい味わい。
Côte de Brouilly(コート・ド・ブルイィ)青銅色の火山岩土壌。濃密でミネラル感あり、より引き締まった構造のあるワイン

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特にサン・タムールのクリュが有名です。「恋人」を意味するこの村の小さな教会で結婚証明書を受け取ることが一つの有名なイベントになっています。ぜひブルゴーニュやボジョレーの観光では訪れたいポイントです。

気候と地形

ボジョレーの気候は大陸性と地中海性の中間に位置しており、夏は暑く乾燥し、秋はブドウの完熟を促します。クル地域は丘陵地が多く、標高は200m〜500m。斜面と土壌の違いがワインの品質とスタイルに直結します。

特に北部の花崗岩や片岩土壌がガメイに適しており、深みとミネラルを備えたワインを生み出します。標高の高い区画では酸がしっかりと残り、爽やかさを感じさせるスタイルとなります。

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ブルゴーニュから地続きの大陸性気候でもありますが、夏の乾燥した感じや風が出てくるところは、地中海性気候を感じました。ぜひ訪れてみたときは、気候の違いも気にしてみてください。

主なブドウ品種

ガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブラン(Gamay Noir à Jus Blanc)が唯一の品種です。ボジョレーではこの品種が軽快さ、果実味、花の香り、滑らかなタンニンを持つワインを生み出すことで知られています。

土壌や標高によって、同じガメイでも軽やかで若飲み向きのものから、熟成によってトリュフや土のニュアンスを帯びる複雑なタイプまで、表現力豊かなワインが造られています

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ガメイの記事もまとめておりますのでぜひご覧ください!

醸造の特徴

クリュ・デュ・ボジョレの多くのワインは、セミ・カルボニック・マセラシオン(半炭酸ガス浸潤法)という独特の発酵法を採用しています。この方法により、果実のアロマを最大限に引き出し、タンニンを滑らかにすることができます。

よりクラシックな生産者は、オーク樽での熟成や、100%除梗しての発酵を行い、力強く構造的なスタイルを目指しています。熟成期間は6ヶ月〜2年程度で、生産者や区画によって異なります。

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ボジョレー・ヌーボーと違って、カルボニック・マセラシオンよりは、よりフルーティーさのバランスを取るために、セミ・カルボニック・マセラシオンが用いられる傾向があります!

原産地統制呼称(AOC)などの規制

各クリュは独自のAOCとして認定されており、

  • ガメイ種100%であること
  • 規定された区画内での栽培・収穫
  • 最大収量:58hl/ha(クリュにより55hl/ha以下の規制も)
  • 最低アルコール度数:10.5〜11.5%(クリュにより異なる)

などの条件が課せられています。

また、AOCの中でもモルゴン、ムーラン・ア・ヴァン、フルーリーなどは熟成力や品質の高さから、特に高評価を得ています。

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規制は、ほとんど変わりませんが、AOCの名前にCru du Beaujolaisと名前を付すことができます!

代表的な生産者例

生産者名概要
Jean Foillard(ジャン・フォワイヤール)モルゴンの自然派の旗手。ビオロジック実践。
Domaine Marcel Lapierre(ドメーヌ・マルセル・ラピエール)自然な造りでモルゴンを表現。伝説的存在。
Georges Duboeuf(ジョルジュ・デュブッフ)ボジョレーの伝道師。多数のクリュを展開。
Château Thivin(シャトー・ティヴァン)コート・ド・ブルイィの名門。伝統重視。
Domaine Chignard(ドメーヌ・シニャール)フルーリーでフィネスを重視する造り。
Domaine Diochon(ドメーヌ・ディオション)モルゴンの長熟型を生む老舗ドメーヌ。
Domaine de la Grand’Cour(ドメーヌ・ド・ラ・グランクール)フルーリーの自然派。フィリップ・ジャノワンが主宰。
Domaine du Vissoux(ドメーヌ・デュ・ヴィスー)ジュリエナで注目の生産者。
Domaine Cheveau(ドメーヌ・シュヴォー)サン=アムールなど北部クリュに注力。
Clos de la Roilette(クロ・ド・ラ・ロワレット)フルーリーに隣接した実力派。
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特に、ジョルジュ・デュブッフは、日本でボジョレー・ヌーボーを広めた生産者として有名ですが、実際にクリュレベルを飲んでみると、その違いに驚くことでしょう。

まとめ:10の顔を持つガメイの楽園

クリュ・デュ・ボジョレは、「ガメイ」という単一品種を通して、多様な土壌と気候が生むワインの個性の奥深さを見事に表現しています。若いうちは果実味あふれる爽やかさ、熟成とともに土やスパイスの複雑味を備える──まさにテロワールが味わえる産地です。

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
10カ国100箇所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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