1. 基本情報
- ワイナリー名:クロ・ルジャール(Clos Rougeard)
- 所在地:フランス、ロワール地方、ソミュール・シャンピニー地区(Chacé村)
- 設立年:1664年
- 所有者:
- 1894年から2015年まで:フーコー家(ジャン=ルイ「シャルリー」およびベルナール「ナディ」兄弟)
- 2017年以降:ブイグ兄弟(マルタン&オリヴィエ)
- 栽培面積:約11ヘクタール(20区画に分かれ、主に粘土石灰質土壌)
- 主要品種:カベルネ・フラン(約9ha)、シュナン・ブラン(約1ha)
- 生産量:年間約2,500ケース(非常に限定的)
- 公式サイト:https://www.clos-rougeard.com/en/
2. 歴史
クロ・ルジャールの歴史は1664年に遡り、1894年からはフーコー家が所有してきました。1969年からはジャン=ルイ「シャルリー」とベルナール「ナディ」の兄弟がドメーヌを引き継ぎ、化学肥料や農薬を使用しない有機農法を実践し、自然酵母による発酵や無濾過・無清澄の醸造を行うなど、伝統的なワイン造りを守り続けました。彼らのワインはその品質と希少性からカルト的な人気を博し、世界中のワイン愛好家から高い評価を受けています。
2015年にシャルリーが逝去した後、2017年にはフランスの実業家であるブイグ兄弟(マルタン&オリヴィエ)により買収されました。彼らはボルドーのシャトー・モンローズのオーナーでもあり、クロ・ルジャールの伝統と品質を継承しつつ、さらなる発展を目指しています。
3. 栽培の特徴
クロ・ルジャールの畑は、ソミュール・シャンピニー地区のシャセ村を中心に広がり、主に粘土石灰質土壌で構成されています。一部の区画には100年以上の古木が存在し、化学肥料や農薬を一切使用せず、有機農法を実践しています。このような栽培方法により、微生物や微小動物が豊富な土壌環境が保たれ、ブドウはそのテロワールを最大限に表現することができます。
収穫はすべて手摘みで行われ、厳選された健全なブドウのみが使用されます。この徹底した品質管理が、クロ・ルジャールの高品質なワインを支えています。
4. 醸造の特徴
クロ・ルジャールでは、自然酵母による発酵を行い、発酵後は18〜24ヶ月間、オーク樽で熟成させます。この熟成には、ワインの個性に応じて新樽や使用済み樽を使い分けています。
- ル・ブルグ(Le Bourg):主に新樽(約80%)で熟成され、力強く複雑な味わいが特徴です。
- レ・ポワイユ(Les Poyeux):1年使用の樽で熟成され、エレガントで繊細なスタイルに仕上がります。
- ル・クロ(Le Clos):古樽で熟成され、果実味とミネラル感が際立つワインとなります。
また、ワインは無濾過・無清澄で瓶詰めされ、酸化防止剤の使用も最小限に抑えられています。このような伝統的かつ自然な醸造方法により、クロ・ルジャールのワインはテロワールの個性を忠実に表現し、長期熟成にも耐える構造を持っています。
5. 生産している主なワインリスト
ワイン名 | タイプ | 品種構成 | 特徴 |
---|---|---|---|
サンムール・ブラン・ブレゼ(Saumur Blanc Brézé) | 白ワイン | シュナン・ブラン100% | 60年以上の古木から収穫されたブドウを使用。豊かなミネラル感と熟成ポテンシャルを持つ。 |
サンムール・シャンピニー・ル・クロ(Saumur-Champigny Le Clos) | 赤ワイン | カベルネ・フラン100% | 古樽で熟成され、果実味とミネラル感が調和したエレガントなスタイル。 |
サンムール・シャンピニー・レ・ポワイユ(Saumur-Champigny Les Poyeux) | 赤ワイン | カベルネ・フラン100% | 1年使用の樽で熟成され、繊細で複雑な味わいが特徴。 |
サンムール・シャンピニー・ル・ブルグ(Saumur-Champigny Le Bourg) | 赤ワイン | カベルネ・フラン100% | 主に新樽で熟成され、力強く濃厚なスタイル。長期熟成に適する。 |
6. コラム
- カルト的な人気:クロ・ルジャールのワインは生産量が非常に少なく、世界中のワイン愛好家やコレクターから高い需要があります。そのため、市場での価格も高騰し、入手困難なワインとして知られています。
- 伝統と革新の融合:ブイグ兄弟による買収後も、クロ・ルジャールはフーコー兄弟の伝統的なワイン造りを継承しつつ、現代的な設備や技術を取り入れています。これにより、品質の向上と持続可能な生産が実現されています。
- テロワールの表現:クロ・ルジャールのワインは、ソミュール・シャンピニー地区のテロワールを忠実に表現しています。特に、粘土石灰質土壌から生まれるミネラル感と、古木から得られる複雑な風味が特徴です。
クロ・ルジャールは、ロワール地方の伝統的なワイン造りを守り続ける希少なワイナリーです。そのワインは、テロワールの個性を最大限に引き出し、長期熟成にも耐える構造を持っています。ワイン愛好家にとって、一度は味わってみたい至高の一本と言えるでしょう。
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