1. 基本情報
- 正式名称:シャトー・カルボニュー(Château Carbonnieux)
- 所在地:フランス、ボルドー地方、グラーヴ地区、ペサック・レオニャン
- 創業年:13世紀(1292年に初出)
- 所有者:ペラン家(Perrin family)
- 格付け:1959年グラーヴ格付け(赤・白ともにグラン・クリュ・クラッセ)
- 栽培面積:約92ヘクタール(赤50ha、白42ha)
- 主要品種:
- 赤:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、マルベック、カルメネール
- 白:ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン
2. 歴史
シャトー・カルボニューの歴史は1292年に遡り、サント・クロワ修道院の修道士たちによって開墾されたのが始まりです。その後、複数の家族の所有を経て、1956年にペラン家が取得し、現在に至ります。18世紀には、白ワインがその透明度と純粋さから「カルボニューのミネラルウォーター」としてオスマン帝国の宮廷に送られたという逸話もあります。
3. 栽培の特徴
シャトー・カルボニューの畑は、グラーヴ地区特有の砂利質土壌に位置し、優れた排水性と日照条件を備えています。赤ワイン用のブドウは、カベルネ・ソーヴィニヨン(60%)、メルロー(30%)、カベルネ・フラン(7%)、プティ・ヴェルド(3%)など、ボルドーの主要品種がバランスよく植えられています。白ワイン用の畑は、ソーヴィニヨン・ブラン(65%)とセミヨン(35%)が主体で、平均樹齢は28年です。特に1956年に植えられた古木のセミヨンが、白ワインに独特の深みと複雑さを与えています。
4. 醸造の特徴
赤ワインの醸造では、ブドウを除梗・破砕後、低温で約28日間のマセラシオンを行い、果実味と色調を引き出します。その後、フレンチオーク樽(新樽比率30%)で15〜18ヶ月間熟成させ、滑らかなタンニンと複雑な風味を持つワインに仕上げます。
白ワインは、収穫後すぐに低温でプレスし、発酵を行います。一部は新樽(25%)で10ヶ月間シュール・リー(澱とともに)熟成させることで、豊かなアロマとクリーミーな質感を持つワインに仕上げています。若いうちはフレッシュでフルーティーな味わいが特徴ですが、熟成とともに蜂蜜やドライフルーツのニュアンスが現れ、複雑さが増します。
5. 主なワインリスト
ワイン名 | タイプ | 品種構成 | 特徴 |
---|---|---|---|
Château Carbonnieux Rouge | 赤 | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド | 黒系果実のアロマと滑らかなタンニン、オークのニュアンスが調和したエレガントな赤ワイン。 |
Château Carbonnieux Blanc | 白 | ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン | 柑橘系や白い花のアロマ、フレッシュな酸味とミネラル感が特徴の洗練された白ワイン。 |
La Croix de Carbonnieux Rouge | 赤(セカンドラベル) | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー | 若木から造られるフルーティーで親しみやすいスタイルの赤ワイン。 |
La Croix de Carbonnieux Blanc | 白(セカンドラベル) | ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン | フレッシュでフルーティーなアロマが魅力のカジュアルな白ワイン。 |
Château Tour Léognan Rouge | 赤(セカンドラベル) | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー | 若木から造られる、果実味豊かでバランスの良い赤ワイン。 |
Château Tour Léognan Blanc | 白(セカンドラベル) | ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン | フレッシュで親しみやすいスタイルの白ワイン。 |
6. コラム
- 白ワインの歴史的評価
シャトー・カルボニューは、18世紀にはその白ワインが「カルボニューのミネラルウォーター」としてオスマン帝国の宮廷に送られたという逸話があり、透明度と純粋さで高く評価されていました。 - 赤白両方のグラン・クリュ・クラッセ
1959年のグラーヴ格付けで、赤白両方のワインがグラン・クリュ・クラッセに認定された数少ないシャトーの一つであり、その品質の高さが証明されています。 - 持続可能な農業への取り組み
環境に配慮した持続可能な農業を実践しており、ISO認証を取得するなど、品質と環境保護の両立を目指しています。
シャトー・カルボニューは、長い歴史と伝統を持ちながらも、現代的な醸造技術と環境への配慮を取り入れたワイン造りを行っています。赤白ともに高品質なワインを生産しており、ボルドー・グラーヴ地区を代表するシャトーとして、今後も注目される存在です。
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