チャコリ・デ・ゲタリア(Chacolí de Getaria)│美食の街を彩る微発泡白ワインの秘密を徹底解説

チャコリ・デ・ゲタリア(Chacolí de Getaria)│美食の街を彩る微発泡白ワインの秘密を徹底解説

「チャコリ・デ・ゲタリア」はどんなワイン?

バスク料理好きのあなたへ:塩気の効いた魚介にぴったりの微発泡白ワイン
軽やかなワインを探している方へ:低アルコールで酸が際立つ爽快スタイル
スペインワインの奥深さを知りたい方へ:土着品種オンダラビ・スリと地域特性が鍵

この記事では、チャコリ・デ・ゲタリアの栽培・醸造の特徴から、味わい、主要生産者、他地域との違いまでを網羅。チャコリの魅力を余すことなくお伝えします。

Photo by World Wine With(筆者撮影)
魚介で有名なゲタリアの港
目次

概要

チャコリ・デ・ゲタリア(Chacolí de Getaria)は、バスク地方のゲタリア(getaria)、サラウツ(Zarautz)、アイア(Aia)などの沿岸地域で生産される白ワインで、1989年に原産地呼称(DO)に認定されました。この地域のワインは、地元の食文化と深く結びついており、特に魚介類との相性が抜群です。

また、バスク語で、ゲタリアコ・チャコリーナ(Getariako Txakolina)と呼ばれることもあります。

伝統的には、高い位置からグラスに注ぐ(エスカンシア)ことで、ワインに空気を含ませ、香りを引き立てます

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私がサン・セバスティアンのバル巡りをしたときに、チャコリをエスカンシアという高い位置から注ぐ手法で、ワインを注いでもらったときは、思わず感動してしまいました!
こころなしか、空気が含まれて、口当たりがよりまろやかになったような気がします。

Photo by World Wine With(筆者撮影)
美食の街サン・セバスティアンのバルでチャコリを注ぐエスカンシアを披露していただきました。
眼の前にあるスペインオムレツも非常に美味しそうでした。

気候の特徴

チャコリ・デ・ゲタリアの産地は、大西洋の影響を受けた温暖湿潤な海洋性気候で、年間降水量は1,600mmとスペインのワイン産地の中でも高い部類に入ります。平均気温は13.5℃で、日照時間は年間約1,800時間です。ブドウ畑は、海からの冷たい風を避けるため、南東向きの斜面に位置し、標高10〜100メートルの範囲に広がっています。土壌は粘土質で、表層に砂質土壌が覆っています。

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ヨーロッパの大西洋側の街らしく、よく雨が降る気候でした。湿気がよくある感じは、少しだけ日本に似ているのかもしれないと感じます。

主なブドウ品種

チャコリ・デ・ゲタリアで使用される主なブドウ品種は以下の通りです。

  • オンダラビ・スリ(Hondarrabi Zuri):白ワインの主要品種で、全体の約95%を占めます。高い酸度と柑橘系の香りが特徴です。
  • オンダラビ・ベルツァ(Hondarrabi Beltza):赤ワインやロゼワインに使用される黒ブドウ品種です。

その他、プティ・クルブ(Petit Courbu)、グロ・マンサン(Gros Manseng)、プティ・マンサン(Petit Manseng)、リースリング、シャルドネなども許可されています。

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チャコリとしては、基本的にオンダラビ・スリがほとんどを占めています!
ただ、それ以外の品種であるリースリングやシャルドネも利用が可能で栽培しているとワイナリーのアメストイでお聞きしたときには、非常に驚きました・・・!

醸造の特徴

収穫されたブドウは、ステンレスタンクで20〜25日間発酵されます。伝統的には、オークや栗の木で作られた樽(クペル)で発酵されていましたが、現在ではステンレスタンクが主流です。発酵後、ワインは澱とともに熟成され、自然な微発泡性が生まれます。このプロセスにより、酸化を防ぎ、フレッシュな風味が保たれます。

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瓶口から細やかに立ち上る泡とともに口に含むと、柑橘と青リンゴの爽やかさが広がり、心地よい塩味が後味に残ります。瓶詰め前の短期間のシュール・リーが旨みを引き出し、自然発酵由来の微発泡が軽快な飲み口を演出されており、スペインオムレツやピンチョスなど、地元料理との相性も抜群でした。

生産に関する規制

チャコリ・デ・ゲタリアは、1990年にDO(Denominación de Origen)として認定され、品質と伝統が保護されています。以下は主な規制内容です。

項目基準
最大収量白:13,000kg/ha、赤:11,000kg/ha(天候による変動あり)
最低アルコール度数白・ロゼともに9.5%以上
醸造方法ステンレスタンク推奨。酵母添加は認可範囲内で可。瓶詰め前の清澄・濾過を要す
発泡について自然発泡(残糖による微発泡)を認可。ただし強制炭酸添加は禁止
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チャコリは、他のワインに比べて、最低アルコール度数が低いため、普段ワインが苦手な方でも飲みやすいと感じるので、友人にも勧めやすいです。

主な生産者リスト

以下は、チャコリ・デ・ゲタリアの代表的な生産者の一覧です。

生産者名概要
Txomin Etxaniz(チョミン・エチャニス)1649年創業の歴史あるワイナリーで、DO設立の中心的存在。
Ameztoi(アメストイ)伝統的な製法と革新的なアプローチを融合させたワイナリー。
Gaintza(ガインツァ)1923年創業の家族経営ワイナリーで、伝統的な製法を守り続けています。
Talai Berri(タライ・ベリ)1992年設立のワイナリーで、女性醸造家が活躍しています。
Hiruzta(ヒルスタ)2012年設立の新進気鋭のワイナリーで、観光施設も併設。
Rezabal(レサバル)家族経営のワイナリーで、環境に配慮したワイン造りを行っています。
Bengoetxe(ベンゴエチェ)オーガニック農法を採用し、自然酵母で発酵させるワイナリー。
Ulacia(ウラシア)伝統的な製法でフレッシュなチャコリを生産するワイナリー。
Zudugarai(ズドゥガライ)1989年設立のワイナリーで、「Antxiola」ブランドで知られています。
Basaurresti(バサウレスティ)1925年創業の老舗ワイナリーで、4代にわたり家族経営を続けています。

チャコリ・デ・ゲタリアは、バスク地方の風土と文化が育んだ、独特の魅力を持つ白ワインです。その爽やかな味わいと微発泡性は、魚介類との相性が抜群で、食事を引き立てます。バスク地方を訪れる際には、ぜひ現地でチャコリを味わい、その魅力を体感してみてください。

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チャコリ・デ・ゲタリアで使用されるオンダラビ・スリや、代表的な生産者であるアメストイの訪問記に関する記事もぜひご覧ください!!

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
10カ国100箇所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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