1. 導入:ビエルソとは?
ビエルソ(Bierzo)は、スペイン北西部カスティーリャ・イ・レオン州のレオン県に位置するワイン産地で、1989年に原産地呼称(DO)として認定されました。この地域は、ガリシア地方との境界近くにあり、アルト・ビエルソ(高地)とバホ・ビエルソ(低地)に分かれています。特にメンシア(Mencía)種を使用した赤ワインが有名で、そのエレガントなスタイルから「スペインのブルゴーニュ」とも称されています。
2. 気候
ビエルソは、大西洋性気候と大陸性気候の影響を受けた特有のマイクロクライメイトを有しています。年間平均気温は約12℃で、夏は24℃、冬は3.5℃程度です。年間降水量は約700mmで、日照時間は約2,200時間と、ブドウ栽培に適した条件が揃っています。この気候により、ブドウは酸味と糖度のバランスが取れた成熟を遂げ、フレッシュでアロマティックなワインが生まれます。
3. 主なブドウ品種
ビエルソでは、赤・白ともに多様な品種が栽培されています。
赤ワイン用品種
- メンシア(Mencía):ビエルソを代表する品種で、全体の約75%を占めます。明るい赤や黒系果実の風味、花の香り、ミネラル感が特徴です。
- ガルナッチャ・ティンタ(Garnacha Tintorera)
- メレンサオ(Merenzao)
- エスタラディーニャ(Estaladiña)
白ワイン用品種
- ゴデーリョ(Godello)
- ドーニャ・ブランカ(Doña Blanca)
- パロミノ(Palomino)
- マルバシア(Malvasía)
4. 醸造
ビエルソのワイン生産者は、伝統的な手法と最新の技術を融合させた醸造を行っています。特に赤ワインでは、メンシア種の特性を活かし、果実味と酸味のバランスが取れたエレガントなスタイルを追求しています。また、白ワインやロゼワイン、スパークリングワインなど、多様なスタイルのワインも生産されています。
5. DOPなどの規制
ビエルソDOPは、23の自治体にまたがり、約2,854ヘクタールのブドウ畑が広がっています。DOPの規定では、使用できるブドウ品種や収穫量、アルコール度数、熟成期間などに関する厳格な基準が設けられており、品質の高いワインの生産が保証されています。特に赤ワインでは、最低70%のメンシアを使用することが求められています。
6. 主な生産者
以下に、ビエルソを代表するワイナリーをご紹介します。
生産者名(読み方) | 概要 | 公式HP | |
---|---|---|---|
デスセンディエンテス・デ・ホセ・パラシオス(Descendientes de J. Palacios) | アルバロ・パラシオスとリカルド・ペレスによって設立されたワイナリーで、ビエルソのテロワールを活かした高品質なワインを生産しています。 | https://www.descendientesdejosepalacios.com/ | https://www.instagram.com/descendientesdejosepalacios/ |
ボデガス・エステファニア(Bodegas Estefanía) | メンシア種を使用した赤ワイン「ティレヌス・クリアンサ」などで知られるワイナリーです。 | https://www.bodegasestefania.com/ | https://www.instagram.com/bodegasestefania/ |
ボデガス・ゴデリア(Bodegas Godelia) | ゴデーリョ種を使用したスパークリングワイン「ゴデリア・キュベ・ブルット」など、多様なスタイルのワインを生産しています。 | https://www.godelia.es/ | https://www.instagram.com/bodegasgodelia/ |
セサール・マルケス(César Márquez) | ラウル・ペレスの甥であるセサール・マルケスが運営するワイナリーで、ビエルソのテロワールを表現したワインを生産しています。 | https://cesarmarquez.com/ | https://www.instagram.com/cesarmarquezbodegas/ |
まとめ
ビエルソは、メンシア種を中心としたエレガントでフレッシュなワインが特徴の注目産地です。特有の気候と多様な土壌、伝統と革新が融合した醸造技術により、個性豊かなワインが生み出されています。初心者から愛好家まで、幅広い層におすすめできるビエルソのワインをぜひお試しください。
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