アリアニコ(Aglianico)│南イタリアを代表する重厚赤ワイン用ブドウ品種の魅力

アリアニコ(Aglianico)│南イタリアを代表する重厚赤ワイン用ブドウ品種の魅力
目次

1. 概要

アリアニコ(Aglianico)は、イタリア南部のカンパーニア州やバジリカータ州を中心に栽培される黒ブドウ品種です。イタリアの赤ワインの中でも特に重厚でしっかりとした構造を持ち、熟成に耐える力強いワインを生み出すことで知られています。

古代ギリシャ時代に南イタリアに伝わったとされ、その歴史は非常に古く、イタリアの「バローロ」とも呼ばれるほどのポテンシャルを持つワインが生まれています。タンニンがしっかりとあり、濃厚な果実味とスパイス、土の香りが特徴的です。

2. 名前の由来

アリアニコの名前の由来については諸説ありますが、一説には「ヘレニック(Hellenic)」すなわちギリシャに関連した言葉に由来すると言われています。これは、古代ギリシャ人が南イタリアにブドウ栽培を伝えた歴史を反映していると考えられています。

また「Aglianico」という呼称は、中世以降の文献に登場し、地域の方言や発音の変化を経て現在の名称になったとされています。

3. 栽培

アリアニコは比較的冷涼な高地でよく育つ品種であり、火山性土壌を持つ丘陵地帯との相性が特に良いとされています。主な栽培地であるカンパーニア州のトゥッフォ(火山灰)土壌がワインにミネラル感と独特の複雑味を与えています。

栽培特性

特性内容
萌芽(budding)遅め
成熟(ripening)遅め(10月中旬〜下旬)
樹勢(vigour)中程度から強め
収量(yield)中程度(品質重視で抑制する生産者が多い)
耐病性一般的に耐性はあるが、湿度の高い年は灰色かび病に注意が必要
最適環境高地の火山性土壌、適度な冷涼気候

成熟が遅いため、十分に果実が熟す気候条件が必要で、晩秋まで収穫を待つことがあります。これにより豊かな果実味としっかりしたタンニンが育まれます。

4. 味わい

アリアニコから造られるワインは、深いルビー色で、力強いタンニンと豊かな酸味が特徴です。黒系果実の濃厚な香りに加え、スパイスや土、時にタバコやレザーのような複雑な香りも感じられます。

若いうちは堅く渋みが強いですが、長期熟成によりタンニンが柔らかくなり、複雑な香味とまろやかな味わいに変化します。カンパーニア州の「タウラージ」やバジリカータ州の「アリアニコ・デル・ヴルトゥーレ」などが代表的な高品質ワインの産地です。

味わいの特徴

  • 香り:ブラックチェリー、カシス、スパイス、コーヒー、タバコ、土、レザー
  • 味わい:フルボディ、豊かなタンニンと酸味、長い余韻
  • 熟成:10年以上の熟成にも耐えうるポテンシャル
  • ペアリング:赤身肉、ジビエ、熟成チーズ、トリュフ料理

5. 主な生産地

カンパーニア州(Campania)

  • タウラージDOCG(Taurasi DOCG)
     アリアニコの最高峰と評される赤ワイン。火山性土壌の丘陵地で栽培され、厳しい基準で醸造される。熟成期間も長く、重厚かつ複雑なワインを生みます。

バジリカータ州(Basilicata)

  • アリアニコ・デル・ヴルトゥーレDOCG
     火山性土壌の高地で栽培。力強い果実味としっかりした酸味が特徴の赤ワイン。熟成のポテンシャルも高い。

プーリア州(Puglia)

  • ロッソ・デル・サレントDOC
     アリアニコが主体のワインも造られており、南イタリアの温暖な気候で果実味豊かなスタイルが多い。

6. 代表的なシノニム

アリアニコは地域や文献によっていくつかの異なる名前で呼ばれることがあります。以下は代表的なシノニムです。

シノニム名名称の由来・背景主な生産地
Aglianico del Vulture(アリアニコ・デル・ヴルトゥーレ)バジリカータ州のアリアニコ種を指す名称バジリカータ州
Ellenico(エレニコ)古代ギリシャに由来する意味合いカンパーニア州
Glianico(グリアニコ)方言や発音の違いによる別称南イタリア全般

おわりに

アリアニコは、イタリア南部の歴史と土壌、気候が育んだ重厚で深みのある赤ワイン用ブドウです。特にタウラージやアリアニコ・デル・ヴルトゥーレは国際的にも高い評価を受けており、じっくりと時間をかけて楽しむべきワインと言えます。

力強く複雑な味わいが好きな方や、熟成ワインをお探しの方にはぜひおすすめしたい品種です。ぜひ機会があれば、アリアニコのワインを味わってみてください。

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
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