1. 基本情報
- ワイナリー名:レ・マッキオーレ(Le Macchiole)
- 所在地:イタリア・トスカーナ州ボルゲリ地区
- 設立年:1983年
- 創業者:エウジェニオ・カンポルミ(Eugenio Campolmi)
- 現オーナー:チンツィア・メルリ(Cinzia Merli)
- 栽培面積:約22ヘクタール
- 主要品種:カベルネ・フラン、メルロー、シラー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン
- 生産スタイル:単一品種ワイン、自然派志向、低収量高品質
2. 歴史
レ・マッキオーレは、1983年にエウジェニオ・カンポルミとチンツィア・メルリ夫妻によって設立されました。当時、ボルゲリ地区ではボルドー品種を用いたブレンドワインが主流でしたが、彼らは単一品種によるワイン造りに挑戦し、地域のワイン造りに新たな風を吹き込みました。
1994年には、メルロー100%の「メッソリオ(Messorio)」とシラー100%の「スクリオ(Scrio)」をリリースし、単一品種ワインの可能性を示しました。また、2001年には「パレオ・ロッソ(Paleo Rosso)」をカベルネ・フラン100%に変更し、その品質の高さで国際的な評価を確立しました。
3. 栽培の特徴
レ・マッキオーレの畑は、ボルゲリ地区の中でも特に恵まれた立地にあります。土壌は粘土質と砂質が混在し、ミネラル分が豊富で、ブドウの根が深く張ることができます。また、地中海性気候の影響を受け、日照量が多く、昼夜の寒暖差が大きいため、ブドウの成熟が均一に進み、酸と糖のバランスが良い果実が育ちます。
栽培においては、区画ごと、樹ごとに細かな管理を行い、手作業による収穫と選果を徹底しています。また、自然環境への配慮から、持続可能な農法を取り入れ、化学肥料や農薬の使用を最小限に抑えています。
4. 醸造の特徴
レ・マッキオーレでは、ブドウの個性を最大限に引き出すため、醸造においても細心の注意を払っています。収穫後、ブドウはステンレスタンクまたはコンクリートタンクで低温発酵され、果実のアロマを保ちます。一部のワインでは、アンフォラ(素焼きの壺)を用いた発酵も試みられています。
発酵後、赤ワインは自然なマロラクティック発酵を経て、フレンチオークのバリック(225〜228リットル)で熟成されます。熟成期間中は、澱を攪拌するバトナージュを定期的に行い、ワインに複雑さと滑らかさを与えます。なお、「スクリオ」にはトノー(大樽)やセラミック製の容器も使用され、ワインの多様性を追求しています。
5. 生産している主なワインリスト
ワイン名 | タイプ | 品種構成 | 熟成期間 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
メッソリオ(Messorio) | 赤ワイン | メルロー100% | 約18ヶ月(新樽100%) | イタリア最高峰のメルロー。豊かな果実味とエレガントなタンニンが特徴。 |
スクリオ(Scrio) | 赤ワイン | シラー100% | 約18ヶ月(トノー等) | スパイシーで力強く、シラーの魅力を存分に表現。 |
パレオ・ロッソ(Paleo Rosso) | 赤ワイン | カベルネ・フラン100% | 約18ヶ月(新樽100%) | ハーブやスパイスの香りが特徴的なエレガントなワイン。 |
パレオ・ビアンコ(Paleo Bianco) | 白ワイン | シャルドネ70%、ソーヴィニヨン・ブラン30% | 約8ヶ月(バリック等) | フレッシュでミネラル感豊かな希少な白ワイン。 |
ボルゲリ・ロッソ(Bolgheri Rosso) | 赤ワイン | メルロー50%、カベルネ・フラン20%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%、シラー10% | 約10ヶ月(旧樽80%、コンクリート20%) | フルーティーで親しみやすいスタイルのエントリーワイン。 |
6. コラム
- 単一品種ワインの先駆者
レ・マッキオーレは、ボルゲリ地区で初めてシラー100%の「スクリオ」をリリースするなど、単一品種ワインの可能性を追求してきました。 - 女性オーナーの活躍
創業者エウジェニオ・カンポルミの死後、妻のチンツィア・メルリがワイナリーを引き継ぎ、品質向上と国際的な評価の確立に貢献しました。 - 持続可能な農法の実践
環境への配慮から、化学肥料や農薬の使用を最小限に抑えた持続可能な農法を採用し、自然との共生を目指しています。
レ・マッキオーレは、ボルゲリ地区のテロワールを最大限に活かし、革新的なワイン造りを続けるワイナリーです。その情熱と探求心が生み出すワインは、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。
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