1. 基本情報
- 正式名称:シャンパーニュ・テタンジェ(Champagne Taittinger)
- 所在地:フランス、シャンパーニュ地方、ランス(Reims)
- 創業年:1734年(テタンジェ家による取得は1931年)
- 所有者:テタンジェ家(Vitalie Taittinger氏が現社長)
- 栽培面積:約288.84ヘクタール
- 主要品種:シャルドネ(37%)、ピノ・ノワール(48%)、ムニエ(15%)
- 年間生産量:約500万本
2. 歴史
テタンジェの起源は1734年、ジャック・フルノー(Jacques Fourneaux)氏によって設立されたシャンパーニュ・メゾンにさかのぼります。1931年、第一次世界大戦中にランスに駐留していたピエール・テタンジェ(Pierre Taittinger)氏がこのメゾンを取得し、家族経営のシャンパーニュ・ハウスとして新たな歴史を刻み始めました。
2005年、一時的に外部資本に売却されましたが、2006年にテタンジェ家が再取得し、家族経営を復活させました。現在は、ピエール・エマニュエル・テタンジェ(Pierre-Emmanuel Taittinger)氏の娘であるヴィタリー・テタンジェ(Vitalie Taittinger)氏が社長を務めています。
3. 栽培の特徴
テタンジェは、シャンパーニュ地方で最大級の自社畑を所有し、環境に配慮した持続可能な農法を実践しています。90%以上の畑で草生栽培を導入し、除草剤を使用せず、土壌を耕すことで健全なブドウ栽培を行っています。また、ピノ・ムニエはヴァレ・ド・ラ・マルヌやマシフ・ド・サン=ティエリーなど、適した土壌に植えられています。
シャルドネは、テタンジェのスタイルを象徴する品種であり、エレガントでフレッシュな味わいを生み出します。特にコート・デ・ブラン地区のブドウを重視しており、繊細でミネラル感のあるシャンパーニュを生産しています。
4. 醸造の特徴
テタンジェでは、伝統的なシャンパーニュ製法(Méthode Champenoise)を採用し、一次発酵をステンレスタンクで行った後、瓶内二次発酵によって繊細な泡を生み出します。ブドウは、品種や区画ごとに分けて圧搾・発酵し、最適なブレンドを行うことで、各キュヴェの個性を引き出しています。
また、ランスのサン・ニケーズ修道院跡にあるガロ・ローマ時代の石灰岩の地下セラー「クレイエール(Crayères)」で熟成を行い、シャンパーニュに深みと複雑さを与えています。
5. 主なワインリスト
ワイン名 | タイプ | 品種構成 | 特徴 |
---|---|---|---|
ブリュット・レゼルヴ(Brut Réserve) | ノンヴィンテージ・ブリュット | シャルドネ40%、ピノ・ノワール35%、ピノ・ムニエ25% | フレッシュでバランスの取れた味わい。テタンジェのスタイルを象徴するスタンダード・キュヴェ。 |
コント・ド・シャンパーニュ・ブラン・ド・ブラン(Comtes de Champagne Blanc de Blancs) | ヴィンテージ・ブラン・ド・ブラン | シャルドネ100% | 特別な年にのみ生産されるプレステージ・キュヴェ。エレガントで熟成ポテンシャルが高い。 |
コント・ド・シャンパーニュ・ロゼ(Comtes de Champagne Rosé) | ヴィンテージ・ロゼ | ピノ・ノワール70%、シャルドネ30% | 深みのある色合いと複雑なアロマを持つ高級ロゼ・シャンパーニュ。 |
レ・フォリ・ド・ラ・マルケトリー(Les Folies de la Marquetterie) | ノンヴィンテージ・ブリュット | シャルドネ45%、ピノ・ノワール55% | シャトー・ド・ラ・マルケトリーの単一畑から造られる限定キュヴェ。豊かな果実味と複雑さが特徴。 |
プレスティージュ・ロゼ(Prestige Rosé) | ノンヴィンテージ・ロゼ | シャルドネ30%、ピノ・ノワール70%(一部赤ワインをブレンド) | フルーティーで華やかなアロマ。食前酒やデザートに最適。 |
6. コラム
- 英国での新たな挑戦:ドメーヌ・エヴルモン(Domaine Evremond)
2015年、テタンジェは英国ケント州チルハムに60ヘクタールの畑を取得し、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエを植樹しました。2023年には初のスパークリングワイン「クラシック・キュヴェ(Classic Cuvée)」をリリースし、英国市場での展開を開始しています。 - 女性リーダーの台頭:ヴィタリー・テタンジェ氏の就任
2019年、ヴィタリー・テタンジェ氏が社長に就任し、家族経営の伝統を守りつつ、現代的な感性を取り入れた経営を行っています。彼女は芸術や文化との融合を図り、ブランドの魅力を高めています。 - 歴史的セラー「クレイエール(Crayères)」の活用
テタンジェは、ランスのサン・ニケーズ修道院跡にあるガロ・ローマ時代の石灰岩の地下セラー「クレイエール」でワインを熟成させています。このセラーは、シャンパーニュの熟成に最適な環境を提供し、ワインに独特の風味と深みを与えています。
テタンジェは、シャルドネ主体のエレガントなスタイルと、家族経営による品質へのこだわりで、シャンパーニュの名門としての地位を確立しています。その伝統と革新の融合は、今後も多くのワイン愛好家を魅了し続けることでしょう。
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