グラハム・ベック(Graham Beck)│南アフリカを代表するMCC(Méthode Cap Classique)の巨匠

グラハム・ベック(Graham Beck)│南アフリカを代表するMCC(Méthode Cap Classique)の巨匠
目次

1. 基本情報

Graham Beck(グラハム・ベック)は、南アフリカのロバートソンとステレンボッシュに拠点を構えるスパークリングワインの名門ワイナリーです。とくに瓶内二次発酵方式(MCC=Méthode Cap Classique)にこだわり抜き、国内外で高い評価を獲得しています。

「すべての祝杯にふさわしい一杯」をスローガンに掲げ、ネルソン・マンデラ元大統領やバラク・オバマ元大統領も、大統領就任時にGraham Beckのスパークリングで乾杯したという逸話でも知られています。

  • 本拠地:ロバートソン(Robertson)、ステレンボッシュ(Stellenbosch)
  • 創業年:1983年
  • 創設者:グラハム・ベック(Graham Beck)
  • 現当主:アンソニー・ベック(Anthony Beck)
  • 醸造責任者:ピーター・フェレイラ(Pieter Ferreira)=「Mr. Bubbles(泡の魔術師)」
  • 公式サイトhttps://grahambeck.com

2. 歴史

ワイナリーは1983年に創業されましたが、グラハム・ベック氏自身は実業家として建設業で成功した後、情熱を注ぐワインの世界に進出した異色の経歴を持ちます。1990年にはロバートソンのMadeba農園を取得し、スパークリングワインに特化した醸造所を設立しました。

彼の信念は「南アフリカにも世界に誇れる泡を作れる」というものであり、それを体現するかのように、Graham BeckのMCCは世界中のワインコンペティションで数々の受賞を果たしてきました。

創設者の死後も、息子のアンソニー・ベックと、伝説的な醸造家ピーター・フェレイラ氏がその哲学を継承し、世界中のスパークリングファンを魅了し続けています。

3. 栽培の特徴

Graham Beckは、自社畑および厳選された契約農家のブドウを使用しており、持続可能な農業を重要視しています。とくにスパークリングワイン向けのシャルドネとピノ・ノワールの栽培においては、酸と果実味のバランスに優れた畑が選ばれています。

  • 主要エリア:ロバートソン渓谷(石灰質土壌)、ステレンボッシュ(冷涼な気候)
  • 気候:地中海性気候(乾燥した夏と穏やかな冬)、朝晩の寒暖差が大きく酸を保持
  • 土壌:石灰質と粘土質が混在し、ミネラル感に富むブドウが育つ
  • 農法:サステイナブル農業、灌漑の最小化、生物多様性の保護

特筆すべきは、ロバートソン地区の石灰質土壌です。これはフランスのシャンパーニュ地方に酷似しており、繊細で骨格のあるスパークリングワインを生み出す要因となっています。

4. 醸造の特徴

Graham Beckは、すべてのスパークリングワインに対してMCC(Méthode Cap Classique)=瓶内二次発酵を採用しています。つまり、カジュアルな価格帯のワインであっても、すべてがシャンパーニュ方式で造られているという点で、他のスパークリングとは一線を画します。

  • 一次発酵:ステンレスタンクまたは旧樽で低温発酵。果実味とアロマを重視
  • 瓶内二次発酵:各ボトルの中で炭酸を自然に生成し、きめ細かな泡を形成
  • 熟成期間:最低15ヶ月〜60ヶ月。ヴィンテージ品は長期熟成(60ヶ月以上)も
  • ドサージュ:Brut Nature〜Brut、Roséなど多様。糖分添加は極力控えめ

醸造の中心を担うのはピーター・フェレイラ氏。シャンパーニュでの研修経験を活かし、南アフリカにおけるMCCの第一人者として「Mr. Bubbles」の異名を取っています。

5. 生産している主なワインリスト

Graham Beckは、クラシックなブリュットからロゼ、長期熟成ヴィンテージまで幅広いラインナップを展開しています。以下に代表的なワインを表でご紹介いたします。

ワイン名タイプ品種構成特徴・コメント
Brut NV白・辛口シャルドネ51%、ピノ・ノワール49%きめ細かい泡とフレッシュな柑橘、ブランドの看板商品
Brut Rosé NVロゼ・辛口ピノ・ノワール66%、シャルドネ34%ストロベリーやチェリーの香りが魅力的なロゼ
Blanc de Blancs Vintage白・辛口(ヴィンテージ)シャルドネ100%石灰質土壌の表現。繊細な酸とトースト香
Pinot Noir Rosé Vintageロゼ・辛口(ヴィンテージ)ピノ・ノワール100%チェリーやスグリの香り、しっかりとした骨格
Cuvée Clive白・辛口(トップキュヴェ)シャルドネ主体長期熟成による複雑なアロマと深い余韻。最上級MCC

とくに「Cuvée Clive(キュヴェ・クライヴ)」は、シャルドネを中心に厳選された年のみ造られるフラッグシップであり、世界中のワイン愛好家が注目する逸品です。

6. コラム(豆知識)

  • 🥂 歴史的瞬間の乾杯ワイン
     ネルソン・マンデラ大統領の就任式でも、オバマ大統領の勝利スピーチ後にも登場した、まさに「祝杯のワイン」。
  • 🌍 国際評価も上昇中
     DecanterやTim Atkinなど著名なワイン評価誌でも高得点を連発し、南アフリカ産スパークリングの地位を世界で確立。
  • 🍇 すべて瓶内二次発酵=本格志向の証
     Graham Beckでは一切、タンク方式や炭酸注入のスパークリングを造っていません。価格に関わらずすべてがMCCです。

まとめ

Graham Beck(グラハム・ベック)は、南アフリカにおけるスパークリングワインの革新者であり、伝統と挑戦を両立する名門ワイナリーです。豊かな土壌、冷涼な気候、確かな醸造技術に裏打ちされたMCCは、まさに世界の銘醸と肩を並べる品質です。

「日常の一杯にも、人生の節目にも」――
Graham Beckのスパークリングは、あなたの大切な瞬間をより輝かせてくれるでしょう。

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
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