1. 基本情報
Bay of Fires(ベイ・オブ・ファイアーズ)は、オーストラリア・タスマニア州に拠点を置くプレミアムワイナリーです。冷涼な気候を生かした高品質なスパークリングワインとスティルワインの両方を手がけており、数多くの国内外のワインアワードで高評価を獲得しています。
- 所在地:オーストラリア・タスマニア州ピパーズ・リヴァー(Pipers River)
- 創立年:2001年(ワイナリーとしての設立年)
- 所有者:Treasury Wine Estates(ペンフォールズなどを傘下に持つ大手グループ)
- 醸造責任者:ピーロ・エミリー(Pirie Emily)
- 主要品種:ピノ・ノワール、シャルドネ、リースリング
- 公式サイト:https://bayoffireswines.com.au
2. 歴史
Bay of Firesは、タスマニアワインの可能性に着目したワインメーカーたちによって2001年に設立されました。ブランド名は、タスマニア北東部に実在する美しい海岸線「Bay of Fires(ベイ・オブ・ファイアーズ)」に由来しています。
設立当初から、冷涼な気候を生かしたスパークリングワインと白ワインに特化し、オーストラリア国内では「冷涼地ワインのパイオニア」として広く知られる存在となりました。スパークリングワインにおいては、姉妹ブランドである「House of Arras(ハウス・オブ・アラス)」との技術的連携もあり、世界レベルの評価を得ています。
2020年代以降は、持続可能な農法への転換や、タスマニア固有のテロワールを活かした区画別キュヴェのリリースなど、さらなる品質向上を目指しています。
3. 栽培の特徴
Bay of Firesは、タスマニア本島の北東部に位置するピパーズ・リヴァー地区を中心に、自社および契約農家のブドウを使用しています。この地域は、年間を通じて冷涼な気候が続き、朝晩の寒暖差も大きいため、ワイン用ブドウの栽培には理想的な条件が整っています。
- 気候:冷涼海洋性気候、四季がはっきりしており、霜のリスクも比較的少ない
- 土壌:火山性の粘土質土壌、排水性が良くミネラル分に富む
- 栽培法:サステナブル認証を取得した農法を推進
- 収穫方法:全て手摘みで選果も丁寧に行い、果実の品質保持に努めています
こうした条件により、シャープな酸と果実の凝縮感を併せ持つブドウが収穫され、繊細でバランスのとれたワインが造られています。
4. 醸造の特徴
Bay of Firesの醸造における最大の特徴は、冷涼気候由来の繊細な果実味と美しい酸を最大限に引き出す、ミニマルなアプローチです。以下のような手法が用いられています。
- 低温発酵の徹底:果実アロマを引き出すため、白・スパークリングワインは低温でじっくり発酵
- 野生酵母の使用:一部のキュヴェでは天然酵母による発酵を採用し、個性ある仕上がりに
- 旧樽およびステンレスタンクの併用:過剰な樽香を避け、ブドウ本来の表現を重視
- 瓶内二次発酵(Méthode Traditionnelle):スパークリングはすべてトラディショナル方式で、熟成期間は2年以上
また、醸造チームは少人数ながら経験豊富で、ブレンド作業にも細心の注意が払われています。毎年リリースされるワインは、高い完成度と一貫性を誇ります。
5. 生産している主なワインリスト
Bay of Firesが手がける主なワインは、以下の表の通りです。冷涼気候の特性を活かしたラインナップが中心となっています。
ワイン名 | タイプ | 主な使用品種 | 特徴・備考 |
---|---|---|---|
Bay of Fires Pinot Noir | 赤ワイン | ピノ・ノワール | チェリーやスパイスの香り、シルキーなタンニン |
Bay of Fires Chardonnay | 白ワイン | シャルドネ | 柑橘とストーンフルーツの香り、軽やかな樽感 |
Bay of Fires Riesling | 白ワイン | リースリング | シャープな酸とライムのようなフレッシュさ |
Bay of Fires Sparkling Cuvée | スパークリング | シャルドネ、ピノ・ノワール | 瓶内二次発酵、繊細な泡と上品な果実味 |
Bay of Fires Sparkling Rosé | スパークリング・ロゼ | ピノ・ノワール主体 | 赤系果実と花の香り、エレガントな仕上がり |
※一部ワインは現地限定販売、もしくは数量限定のため日本未入荷の場合があります。
6. コラム(豆知識)
- 🔹 スパークリング部門は「House of Arras」と技術共有
同じピパーズ・リヴァーに本拠を置く「ハウス・オブ・アラス」は、Bay of Firesの姉妹ブランドであり、オーストラリア最高峰のスパークリングメーカーとしても知られています。 - 🔹 「ベイ・オブ・ファイアーズ」の由来
オーストラリア先住民が焚いた焚火の煙が由来とも言われ、現在は世界的に有名な観光地でもあります。 - 🔹 タスマニアワインの国際的評価が急上昇中
気候変動の影響で、冷涼なタスマニアがますます注目されており、Bay of Firesはその最前線に立つ生産者です。
まとめ
Bay of Firesは、タスマニア州の冷涼なテロワールを最大限に活かした、繊細で洗練されたワインを手がけるワイナリーです。シャルドネやピノ・ノワール、リースリングなどの品種で高評価を受けており、とりわけスパークリングワインは南半球最高峰とも言われる品質を誇ります。
「涼しさ」を感じるワインを探している方、シャンパーニュに似たスタイルを求めている方、あるいはオーストラリアの次なるスター生産者を知りたい方には、ぜひ一度手に取っていただきたいブランドです。
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