1. 導入
ルエダ(Rueda)DOは、1980年にスペインで初めて白ワインに特化した原産地呼称として認定されました。ヴァリャドリッド、セゴビア、アビラの3県にまたがる72の自治体に広がり、総面積は約16,000ヘクタールに及びます 。この地域のワイン造りの歴史は11世紀にまで遡り、長い伝統と革新が融合したワイン文化が根付いています。
2. 気候
ルエダは、標高600〜780メートルの高原地帯に位置し、典型的な大陸性気候を有しています。夏は暑く乾燥し、冬は寒冷で、昼夜の寒暖差が大きいことが特徴です。年間平均降水量は約400mmで、春と秋に集中して降雨があります。このような気候条件は、ブドウの成熟を促進し、酸味と香りのバランスが取れた高品質なワインの生産に寄与しています 。
3. 主なブドウ品種
ルエダD.O.では、白ブドウ品種が主に栽培されており、特にベルデホ(Verdejo)が代表的です。この品種は、11世紀からこの地域で栽培されており、アロマティックでフレッシュな白ワインを生み出します 。その他、ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)、ビウラ(Viura)、パロミノ・フィノ(Palomino Fino)、ヴィオニエ(Viognier)、シャルドネ(Chardonnay)なども認可されています 。
赤ブドウ品種としては、テンプラニーリョ(Tempranillo)、カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)、メルロー(Merlot)、シラー(Syrah)、ガルナチャ(Garnacha)などが栽培されています 。
4. 醸造
ルエダのワイン造りは、伝統と革新が融合しています。ヴェルデホを使用した白ワインは、夜間に収穫されたブドウを低温で発酵させることで、酸化を防ぎ、フレッシュなアロマと味わいを保持します 。また、近年ではスパークリングワイン(Espumoso)や、伝統的な酸化熟成を経た「ルエダ・パリド(Rueda Pálido)」の生産も再評価されています 。
5. DOなどの規制
ルエダD.O.では、以下のような規制が設けられています。
- 基本規定:白ワインは、ヴェルデホまたはソーヴィニヨン・ブランを50%以上使用する必要があります 。
- 品種表示ワイン:「ルエダ・ヴェルデホ」や「ルエダ・ソーヴィニヨン」と表示する場合、該当品種を85%以上使用する必要があります 。
- 新たな分類:
- ヴィノ・デ・プエブロ(Vino de Pueblo):特定の村で85%以上のブドウを使用したワイン。
- グラン・ヴィノ・デ・ルエダ(Gran Vino de Rueda):樹齢30年以上の古木から収穫されたブドウを使用し、収量が6,500kg/ha以下のワイン。
これらの分類は、テロワールや品質の向上を目的として導入されました 。
6. 主な生産者
以下は、ルエダを代表する生産者の一部です。
生産者名(読み方) | 概要 | 公式HP | |
---|---|---|---|
Marqués de Riscal(マルケス・デ・リスカル) | 1858年創業の歴史あるワイナリーで、ルエダにおけるヴェルデホの復興に貢献。 | 公式HP | |
Bodegas Naia(ボデガス・ナイア) | ヴェルデホの個性を引き出すワイン造りで知られる。 | 公式HP | |
Bodegas José Pariente(ボデガス・ホセ・パリエンテ) | 家族経営のワイナリーで、品質重視のワインを生産。 | 公式HP | |
Bodegas Protos(ボデガス・プロトス) | リベラ・デル・ドゥエロを拠点としつつ、ルエダでも高品質な白ワインを生産。 | 公式HP | |
Bodegas Menade(ボデガス・メナデ) | 有機農法を実践し、自然なワイン造りを追求。 | 公式HP |
ルエダは、スペインを代表する白ワインの産地として、その地位を確立しています。特にヴェルデホを主体としたワインは、アロマティックでフレッシュな味わいが特徴で、さまざまな料理との相性も抜群です。また、近年の規制緩和や新たな分類の導入により、多様なスタイルのワインが生産されており、ワイン愛好家にとっても魅力的な地域となっています。ぜひ、ルエダのワインをお試しください。
コメント