1. 導入
リアス・バイシャス(Rías Baixas)DOは、1988年にスペインで原産地呼称として認定されました。この地域は、ポンテベドラ県とア・コルーニャ県にまたがり、総面積は約4,642ヘクタールに及びます。「リアス」とは、ガリシア語で「入り江」を意味し、リアス式海岸が特徴的な地形を形成しています。この地形と気候が、アルバリーニョをはじめとする高品質な白ワインの生産に適しています。
2. 気候
リアス・バイシャスは、大西洋の影響を強く受ける海洋性気候で、年間降水量は1,600〜2,000mmに達します。夏は涼しく、冬も比較的温暖で、霧や湿気が多いのが特徴です。このような気候条件は、ブドウの成熟をゆっくりと進め、酸味と香りのバランスが取れたワインの生産に寄与しています。
3. 主なブドウ品種
リアス・バイシャスD.O.では、以下のブドウ品種が認可されています。
- 白ブドウ品種:
- アルバリーニョ(Albariño)
- ロウレイラ・ブランカ(Loureira Blanca)
- トレイシャドゥーラ(Treixadura)
- カイーニョ・ブランコ(Caíño Blanco)
- トロンテス(Torrontés)
- ゴデーリョ(Godello)
- 赤ブドウ品種:
- カイーニョ・ティント(Caíño Tinto)
- エスパデイロ(Espadeiro)
- ロウレイラ・ティンタ(Loureira Tinta)
- スソン(Sousón)
- メンシア(Mencía)
- ブランセラオ(Brancellao)
アルバリーニョは、リアス・バイシャスのワイン生産の約90%を占める主要品種で、柑橘系や白桃、アプリコットなどの香りと、爽やかな酸味が特徴です。
4. 醸造
リアス・バイシャスのワイン造りは、伝統と革新が融合しています。アルバリーニョを使用した白ワインは、ステンレスタンクでの発酵が一般的で、フレッシュでフルーティーな味わいが特徴です。また、一部の生産者は、シュール・リー(Sur Lie)製法を取り入れ、ワインに複雑さとコクを加えています。近年では、スパークリングワインや赤ワインの生産も増えており、地域の多様性が広がっています。
5. DOなどの規制
リアス・バイシャスD.O.では、以下のような規制が設けられています。
- ブドウ品種の使用:認可された品種のみを使用すること。
- アルコール度数:白ワインは最低9.5%、赤ワインは最低10%のアルコール度数が必要。
- 収穫量:ヘクタールあたりの収穫量に上限が設けられており、品質の維持が図られています。
- 熟成期間:特定の分類(例:クリアンサ、レセルバ)に応じた熟成期間が定められています。
これらの規制は、ワインの品質と地域の特性を保つために重要な役割を果たしています。
6. 主な生産者
以下は、リアス・バイシャスを代表する生産者の一部です。
生産者名(読み方) | 概要 | 公式HP | |
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Bodegas Martín Códax(ボデガス・マルティン・コダックス) | 1986年設立の協同組合で、アルバリーニョの品質向上に貢献。 | 公式HP | |
Bodegas Terras Gauda(ボデガス・テラス・ガウダ) | オ・ロサル地区に位置し、アルバリーニョを中心に多様なワインを生産。 | 公式HP | |
Pazo de Señorans(パソ・デ・セニョランス) | 16世紀の邸宅を改装したワイナリーで、伝統的な手法を守る。 | 公式HP | |
Bodegas Fillaboa(ボデガス・フィジャボア) | コンダード・ド・テア地区に位置し、アルバリーニョの単一畑ワインが特徴。 | 公式HP | |
Bodegas La Val(ボデガス・ラ・バル) | 1985年創業で、アルバリーニョを中心に高品質なワインを生産。 | 公式HP |
リアス・バイシャスは、スペインを代表する白ワインの産地として、その地位を確立しています。特にアルバリーニョを主体としたワインは、爽やかな酸味と豊かな香りが特徴で、シーフードとの相性も抜群です。また、近年の規制緩和や新たな分類の導入により、多様なスタイルのワインが生産されており、ワイン愛好家にとっても魅力的な地域となっています。ぜひ、リアス・バイシャスのワインをお試しください。
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