1. 導入:トロとは?
トロ(Toro)は、スペイン北西部カスティーリャ・イ・レオン州のサモラ県に位置するワイン産地で、1987年に原産地呼称(DO)として認定されました。この地域は、ドゥエロ川沿いに広がり、古代ローマ時代からワイン造りが行われてきた歴史ある産地です。特にティンタ・デ・トロ(Tinta de Toro)と呼ばれるテンプラニーリョの亜種を使用した、力強く濃厚な赤ワインで知られています。
2. 気候
トロは大陸性気候に属し、夏は非常に暑く乾燥し、冬は寒冷で霜のリスクもあります。標高600〜800mの高地に位置し、昼夜の寒暖差が大きいため、ブドウは完熟しながらも酸を保持し、バランスの取れたワインが生まれます。年間降水量は約350mmと少なく、乾燥した気候がブドウの病害を防ぎ、健全な果実の収穫を可能にしています。
3. 主なブドウ品種
トロでは、赤ワイン用のティンタ・デ・トロが主要品種として栽培されています。この品種は、厚い果皮と高い糖度を持ち、深い色合いと豊富なタンニンを備えたフルボディのワインを生み出します。また、白ワイン用にはマルバシア(Malvasía)やベルデホ(Verdejo)などが栽培されています。
4. 醸造
トロのワイン生産者は、伝統的な手法と最新の技術を融合させた醸造を行っています。特に赤ワインでは、ティンタ・デ・トロの特性を活かし、果実味とタンニンのバランスが取れた力強いスタイルを追求しています。また、白ワインやロゼワインなど、多様なスタイルのワインも生産されています。
5. DOPなどの規制
トロDOPは、約8,000ヘクタールのブドウ畑が広がり、厳格な規定により品質の高いワインの生産が保証されています。特に赤ワインでは、ティンタ・デ・トロを主体とし、収穫量やアルコール度数、熟成期間などに関する基準が設けられています。また、フィロキセラの被害を免れた自根の古木が多く残っており、これらのブドウからは凝縮感のある複雑な風味のワインが生まれます。
6. 主な生産者
以下に、トロを代表するワイナリーをご紹介します。
生産者名(読み方) | 概要 | 公式HP | ||
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ボデガ・ヌマンシア(Bodega Numanthia) | LVMHグループが所有するプレミアムワイナリーで、ティンタ・デ・トロの古木から造られる力強くエレガントなワインで知られています。 | https://www.numanthia.com/ | https://www.instagram.com/bodeganumanthia/ | |
ボデガ・テルモ・ロドリゲス(Bodega Telmo Rodríguez) | スペインの著名なワインメーカー、テルモ・ロドリゲスが手がけるワイナリーで、トロのテロワールを活かした高品質なワインを生産しています。 | https://www.telmorodriguez.com/ | https://www.instagram.com/telmorodriguez/ | |
ボデガ・マウロ(Bodega Mauro) | リベラ・デル・ドゥエロの名門、ボデガ・マウロがトロで展開するワイナリーで、伝統と革新を融合させたワイン造りを行っています。 | https://www.bodegamauro.com/ | https://www.instagram.com/bodegamauro/ | |
ボデガ・カンポ・エリセオ(Bodega Campo Eliseo) | ボルドーのリュルトン家とミッシェル・ロランが手がけるジョイント・ベンチャーで、トロのポテンシャルを最大限に引き出したワインを生産しています。 | https://www.campoeliseo.com/ | https://www.instagram.com/campoeliseo/ | (ワイン通販のフィラディスワインクラブ) |
まとめ
トロは、ティンタ・デ・トロを使用した力強く濃厚な赤ワインで注目を集めるスペインのワイン産地です。厳しい気候条件と古木のブドウ、伝統と革新が融合した醸造技術により、個性豊かなワインが生み出されています。初心者から愛好家まで、幅広い層におすすめできるトロのワインをぜひお試しください。
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