1. 概要
ピノタージュ(Pinotage)は、南アフリカを代表する赤ワイン用ブドウ品種で、1925年にピノ・ノワール(Pinot Noir)とサンソー(Cinsault)を交配して誕生しました。南アフリカの気候と風土に適応し、独特の香りと味わいを持つワインを生み出します。
その個性的なフレーバーは世界中のワイン愛好家から注目されており、力強くスモーキーな香りやフルーティーさが特徴的です。
2. 名前の由来
「ピノタージュ」という名前は、「Pinot Noir(ピノ・ノワール)」と「Cinsault(サンソー)」の両親品種の名前を組み合わせて作られました。これは、もともとサンソーが、エルミタージュ(Hermitage)と呼ばれていたためです。発明者である南アフリカの農学者アブラハム・ペレス(Abraham Perold)によって命名されました。
3. 栽培
ピノタージュは南アフリカの気候に適応した品種ですが、栽培には注意が必要です。
- 萌芽(budding):中期に萌芽します。
- 成熟(ripening):晩熟で、4月から5月にかけて収穫されます(南半球のため)。
- 樹勢(vigour):比較的強い樹勢を持ち、管理が必要です。
- 収量(yield):中程度の収量ですが、品質維持のために制限されることもあります。
- 耐病性:比較的耐病性がありますが、湿度が高い環境では病害に注意が必要です。
- 適した土壌・気候:温暖で乾燥した地中海性気候を好み、排水の良い土壌が適しています。
4. 味わい
ピノタージュ由来のワインは以下の特徴があります。
- 外観:深いルビーレッドから紫色がかった色合い。
- 香り:ブラックベリーやプラムなどの黒系果実に加え、スモーキーやコーヒー、チョコレート、時にはバナナの香りも感じられます。
- 味わい:フルボディでタンニンは中程度からしっかりめ。果実味豊かでスパイシーさや樽香がバランスよく調和しています。
- スタイル:若飲みから熟成タイプまで幅広く、特に樽熟成されたものは複雑な風味が楽しめます。
5. 主な生産地
ピノタージュはほぼ南アフリカ限定の品種ですが、世界的に評価されています。
- 南アフリカ共和国(South Africa/南アフリカ)
西ケープ州を中心に栽培され、ステレンボッシュ(Stellenbosch/ステレンボッシュ)、フランシュフック(Franschhoek/フランシュフック)、パール(Paarl/パール)などの著名なワイン産地で生産されています。 - 少量栽培地域
オーストラリアやニュージーランドなど一部地域で試験的に栽培されていますが、主な生産地は南アフリカです。
6. 代表的なシノニム
ピノタージュは交配品種のため、主に「Pinotage(ピノタージュ)」として知られています。ほかに一般的な別名はありません。
シノニム名 | 名称の由来・背景 | 主な生産地 |
---|---|---|
Pinotage(ピノタージュ) | ピノ・ノワールとサンソーの交配に由来する名称 | 南アフリカ |
おわりに
ピノタージュは南アフリカを象徴する独特な赤ワイン用ブドウ品種で、豊かな果実味とスモーキーな風味が特徴です。特に南アフリカ産のピノタージュは、世界的にも評価が高く、ユニークな個性を楽しめます。
初めての方はフルーティーで飲みやすいタイプから試してみると良いでしょう。南アフリカワインの魅力を感じるには最適な品種です。
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