リースリング(Riesling)│冷涼な気候が生み出すアロマティックで繊細な白ワインを解説

「リースリング」はどんなタイプのワインになる?

酸味が心地よいワインをお探しのあなたへ:繊細なアロマと鮮烈な酸が魅力の白ワイン
甘口ワインの奥深さに興味がある方へ:熟成で広がるペトロール香の世界
ドイツ/フランス/オーストラリアなど、産地別の違いを比較したい方へ:テロワールが生む味の幅も解説

この記事を読めば、リースリングの栽培特性・味わい・代表的な産地と生産者・スタイルの多様性まで、1記事でしっかり理解できます。

アルザスの伝統的なワイングラスにあ入ったリースリングなどのワイングラス	Photo by World Wine With(筆者撮影)
アルザスでは、足(ステム)が長い伝統的なグラスでリースリングを飲むことができます。
目次

概要

リースリング(Riesling)は、高い酸味と華やかな香りが特徴の白ワイン用ブドウ品種で、フランスのアルザス地方やドツをはじめ、オーストリア、オーストラリアなどの冷涼な地域で栽培されています。繊細で芳香性が高く、辛口から極甘口まで幅広いスタイルを楽しめる稀有な品種です。

また、リースリングは、石油香や熟成香でも知られ、時間の経過とともに複雑さを増すため、ワイン愛好家からも熱烈に支持されています。また、果実の糖度と酸のバランスに優れており、甘口ワインでも重たさを感じさせない点が魅力です。

KSK

リースリングは、私が旅行先や日常でも一番好きな品種です!南ドイツのシュトゥットガルトやフランスのアルザスで飲んだリースリングは、非常に味や酸味が充実していて、とても美味しかったです!!

名前の由来

リースリングの名前の由来には諸説ありますが、最も有力とされるのは、ドイツ語の「rieseln(リーゼルン/滴る、小さな流れ)」から来ているという説です。これは、結実が不安定で果粒がまばらになりやすい性質を指しているといわれています。

また、15世紀のドイツ・ラインガウ地方の文書に「Rießlingen(リースリンゲン)」として初めて登場しており、ドイツ語圏を起源とする古来の在来品種であることが分かっています。

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私が、ワインエキスパートやWSETの勉強をしているときは、リースリングの綴りをよく間違えてしまっていましたので注意です。
RieslingとReislingのどちらが正しいか書けますか・・・笑?

栽培の特徴

リースリングは冷涼な気候を好む品種で、成熟に時間がかかる「晩熟型」です。酸をしっかりと保持しつつ、気温の上昇とともに糖度も高まるため、甘口ワインの原料にも最適です。

発芽と成熟

  • 発芽時期: 中程度〜やや遅め
  • 成熟時期: 晩熟(10月中旬〜下旬)
    遅摘みや貴腐菌の発生による甘口ワインづくりに適している

栽培の特徴

  • 寒冷地に適応しやすいが、湿気にやや弱い
  • 果粒が小さく、果皮はやや厚めで貴腐菌の影響を受けやすい
  • 果実の凝縮感と酸のバランスが取りやすい

理想的な栽培条件

  • 河川沿いの急斜面、日照量の確保できる南向きの畑が理想的
  • 寒暖差の大きい気候下でアロマと酸が際立つ
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代表的な産地であるフランスのアルザスやドイツといった大陸性の気候でありながらも寒冷地でよく育つブドウ品種です。私が訪れたときは、雪のすごい地域でしたが、そうした地域性をまざまざと感じることができました。

味わいの特徴

リースリングは、産地やスタイルによってさまざまな味わいを表現しますが、共通して感じられるのは「鮮烈な酸」と「華やかな香り」です。さらに、熟成によって複雑な香りが加わります。

主な香り・風味

  • 果実: 青リンゴ、レモン、白桃、ライム、杏子、パイナップル
  • 花: アカシア、ジャスミン、オレンジブロッサム
  • ミネラル・熟成香: 火打石、石油(ペトロール)、蜜蝋、蜂蜜

スタイル

  • 辛口: 鮮烈な酸味とミネラル感。ドライでシャープな飲み口
  • 半甘口: 果実味と酸のバランスが絶妙で、食中酒としても最適
  • 甘口〜極甘口: 遅摘みや貴腐、氷結による極めてリッチな味わい
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甘口でも酸が高いため、糖分を感じさせない軽やかさがあり、世界中で高評価を得ています。
特に石油香(ペトロール)については、リースリングの代表的な香りですが、私は、産地によってはその香りを取ることができないため、テイスティングでは注意が必要だと思っています。

主な生産地

リースリングは、冷涼な気候を有する地域で広く栽培されています。それぞれの地域で異なる個性を持ち、飲み比べも楽しみの一つです。

ドイツ(Germany)

  • 世界最大のリースリング産地
  • モーゼル(Mosel)ではエレガントで繊細な甘口スタイルが多く、ラインガウ(Rheingau)では辛口スタイルも評価が高い
  • 熟成能力の高いワインが多く、VDP(ドイツ優良生産者団体)の格付けも注目

フランス(France)│アルザス地方(Alsace)

  • ドイツに近い文化的背景を持ち、辛口リースリングが主流
  • ミネラル感としっかりとしたボディが特徴で、食事に合わせやすい

オーストリア(Austria)

  • ヴァッハウ(Wachau)カンプタール(Kamptal)などで高品質な辛口タイプを生産
  • 力強くスパイシーな味わいが特徴で、近年国際的評価が高まっている

オーストラリア(Australia)

  • 特にクレア・ヴァレー(Clare Valley)エデン・ヴァレー(Eden Valley)で注目
  • キリっとした酸とライムのような柑橘香が際立つ、非常にドライなスタイル

アメリカ(USA)

  • ワシントン州を中心に高品質なリースリングが栽培されている
  • 甘口から辛口まで幅広いスタイルがあり、飲みやすいバリエーションが豊富
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私は、特にドイツのリースリングが飲み比べてみたところでは好きでした。非常に凝縮感があるだけではなく、ドイツのスパークリングワインであるゼクトを飲んだときは、非常に濃く強い風味や味わいに圧倒されました。

代表的なシノニム(別名)

リースリングは、世界各地で異なる名前で呼ばれることがあります。

シノニム名名称の由来・背景主な生産地
Johannisberg Riesling(ヨハニスベルク・リースリング)ヨハニスベルク修道院の畑で栽培されたことに由来ドイツ、アメリカなど
White Riesling(ホワイト・リースリング)赤ブドウとの区別のために用いられる(主に北米)アメリカ、カナダなど
Rheinriesling(ラインリースリング)ライン川流域の本来のリースリングを区別するための名称ドイツ、オーストリアなど

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リースリングと名前がついてもリースリングではないものもあります。例えば、オーストリアやハンガリーで育てられているヴェルシュリースリングなどはリースリングとは別品種ですので、ソムリエ試験などでは気をつけてみてください!ちなみに私はよく間違えていました笑

まとめ

リースリングは、冷涼な気候でこそ本領を発揮する白ブドウ品種であり、辛口から極甘口まで、そして若飲みから長期熟成まで、実に多彩な表情を持つワインを生み出すことができます。

KSK

初心者にも飲みやすいスタイルから、ワイン通をうならせる熟成タイプまで幅広いため、ぜひお気に入りのリースリングを見つけてみてください。様々なスーパーで安く買うことができますが、ほとんどハズレがないため、外したくないときはリースリングを選ぶのがおすすめです!

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この記事を書いた人

とある企業の会社員
突然ワインに目覚めて、その奥深さにハマる。
WSET Lv.3のほか、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナルも保有し、現在は、WSET Diploma(WSET ディプロマ)に挑戦中。
10カ国100箇所以上のワイン関連の自治体を巡った経験を基に、ワインの情報や勉強をもっと気軽にできるよう、世界のワインの情報を統合してお届けできるようサイトを運営していきます。

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